第224話 自分主体の表現で相手を思いやる

 命令形とは、普通自分が相手よりも立場が上で、その相手に向かって何かを強制する意味で用いるが、「頑張れ」とか、「諦めるな」のように、立場がどうこうということは関係なしに、自分主体ではなく、相手のために励ますような用い方をすることもできる。


 同じように、願望を表す「したい」や「ほしい」という語は、これも本来なら自分主体として、「ゲームをしたい」とか、「本がほしい」というふうに用いるが、相手のためを思って、「君を笑顔にしたい」とか、「あなたに喜んでほしい」のように用いることもできる。


 要するに、用い方によって語の意味が変わるという話だが、これは、自分主体の態度が、ときには相手をも幸せにする、ということを表しているのかもしれない。命令形も、願望を表す表現も、どちらも自分主体の考えを述べる際に用いる語を使うが、それでも自分主体にはならず、相手のことを考えているという意思を伝えることができる。


 反対に、上記の言葉を用いないで、同様の内容を伝えることは難しい。

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