第137話 揺れる評価

 小説でもゲームでも、どのような角度から作品を捉えるかによって、評価は違ってくる。


 その分野の路線を踏襲していることが、最大の評価点だと考えている場合、その通りの作品は評価が高く、そうでない作品は評価が低くなる。基本的に、どんな分野にも必ず踏襲しないといけない、もしくは踏襲した方が良いと考えられている点がいくつかあって、それを踏襲していないと、そもそもその分野に属するものではないと判断される。ミステリー小説なら、探偵役がトリックと犯人を解明しないといけないし、RPGならストーリーとレベルの概念が存在しないといけない。


 しかしながら、あえてそうした制約から離れた作品というのも、この世界には存在する。それについて、作者にそうした知識がなく、結果的に踏襲するべきものが踏襲されていない形で世に出てしまった場合と、作者があえて踏襲するべきものを踏襲しなかった場合とでは、評価に違いが生じると考えられる。仮に前者の場合だったとしても、それで必ず評価が高くなるとは限らない。受け手がそういう作品「として」捉えた場合では、一律で低い評価ばかりが並ぶ結果にはならないが、一方で、作者がそういう作品「として」作ったことを受け手が知らなければ、踏襲するべきものを踏襲していない作品と見なされ、評価は低くなる。


 良い評価者とは、何だろうか。

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