第209話 それだけ
どんな文でも、「だけ」を付ければ限定的な意味になりそうである。
商品販売のテレビ番組で、「このお布団、お値段がなんと八八九〇円、八八九〇円だけで買えるんです」と言われた場合、なんとなく「安いのかな」と思ってしまうような気がする(もちろん、売り手の威勢の良い話し方なども関係しているのだろうが)。ほかにも、「一週間だけ貸してほしい」とか、「君と○○君だけが頼りなんだ」というふうに表現できることからも、本当は全然限定的な事態ではなくても、「だけ」という助詞を付けるだけで、限定されているように錯覚させることができる。
しかしながら、これはどんな場合にもいえることだが、そうしたある種の強調の意味を表す言葉は、それをとってしまっても文意は通じるので、事実だけを客観的に観察したいのであれば、それをとって残った文を見れば良い。まず、主語が何かを判断し、次に主語、つまりその動作主がとる事態を表す動詞を判断して事態の枠組みを理解したら、直接目的語になるものを残して、ほかの不要な要素をすべて排除し、最後にもう一度頭から文を読んで内容を理解する、だけ、である。
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