第42話 知らない振りをすると得

 知っている振りをするよりも、知らない振りをする方が遥かに安全である。


 本当は知らないのに、知っている振りをすると、それについて細かい質問をされたときに困ることになる。答えが言い淀んでしまい、不信感を抱かれ、最終的には相手の信頼を失いかねない。しかしながら、少し知っていても、まったく知らない振りをすると、そういう事態にはならないどころか、自分が知らない部分まで相手から教えてもらえることもあり、むしろプラスの結果になることが多い。つまり、知っている振りをすると損をする可能性が、知らない振りをすると得をする可能性が高くなる。


 能ある鷹は爪を隠す、という諺があるが、まさにその通りで、自分の才能をひけらかすと一時的に優越感に浸ることができるが、最終的な利益はどうしようもないくらい小さくなる。知識や知恵を披露して、凄い凄い、と周りの人から言われるのを目的とするのなら良いが、凄い凄いと言っている人は、心の底では凄いとは思っていない。それなら、馬鹿だな、と言われるのを承知のうえで、あえて知らない振りをして、新しい知識や知恵を教えてもらった方が明らかに良いだろう。

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