第41話 面白さは退屈のあとにやって来る

 新しいことを始めるときに抵抗を受けるのは当たり前である。


 新しい趣味を始めたり、新しいことを勉強したりすると、面白さが分からない、と言ってすぐにやめてしまう人がいるが、本当の面白さは、そのつまらない時期を乗り越えた先にあるのではないか、と個人的には感じる。鑢を使って木材の表面を擦ると、最初の内は抵抗を受けて上手く削れないが、徐々に摩擦が減って作業をスムーズに行えるようになる。それと同じである。面白さが分からない期間は、面白さを理解する前段階だと考えれば、少しは退屈さを我慢できるようになるのではないか。


 走り始めると暫くの間苦しい時間が続くが、それを乗り越えてしまえば、あとは心地よく走り続けることができる。テストが始まると、最初の内はなかなか頭が回らずに良い答えに至らないが、それでもある程度ペンを動かしていると、自然と自分でも驚くような答えを思いつくことがある。このように、面白さはあとからついてくるもので、最初から実感できるものではない。最初から面白さを求めるから、予想していたものとのギャップが生じてしまい、何も面白く感じられないままやめてしまう。何も考えないでとにかくある程度やってみると、その分の面白さが返ってくる、というふうに考えるのが物事を楽しむこつである。

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