第303話 意味のある問い・意味のない問い

 「なぜ○○か」という問いをする場合、それが意味(効果)がある場合と、ない場合がある。


 たとえば、「なぜ、あなたは遅刻したのですか?」と問う場合、そこには明確な原因や理由が存在する可能性が高いので、意味があるといえる。この例だと、その問いに対する答えを得られれば、遅刻した本人に改善策を提示するなどの対処ができるので、大変有意義な問答になる。


 一方で、「なぜ、昼間の空には太陽があるのですか?」と問う場合には、ほとんど意味がない。なぜなら、昼間の空に太陽が存在することには、明確な原因や理由がないからである。仮にこの世界に太陽が存在していなくても、「なぜ、昼間の空には何もないのですか?」(つまり、「なぜ、昼間の空には太陽がないのですか?」)と問うことができてしまう。要するに、現状がどのような状態であっても、「なぜ○○か」という問いをすることができるので、偶然そういう状態になっていたとしても、それを特殊な(原因や理由がある)状態だと捉えることができてしまうということである。


 よく子どもが教師に向かって言う、「どうして勉強しなくちゃいけないの?」という問いは、「どうして勉強しなくてもいいの?」という問いと根本の部分が同じであるので、無効である(という言い逃れ)。

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