第278話 セットで成り立つ概念
根本的な問いだが、右とは何だろうか。
昔、左という概念を使わずに、右とは何かを説明せよという論題で、友人と議論したことがあるが、それは無理な話だと、今になって気がついた。右と左というのは、一方がなければ成り立たない概念であり、右単体では存在しえない。それは、上下も、前後も同じである。
右方向のことを、「みぎ」と読む音声言語や、「右」と書く文字言語がなくても、この世界に「右」というものは存在すると考えられる。なぜなら、人間の脳は左右に分かれているからである。たとえそれを「みぎ」と読んだり、「右」と書いたりしなくても、脳には左右の区別がある。しかしそれは、右単体が右として存在しているのではなく、必ず左とセットになって存在している。
それ以前の問題として、左右という概念を持つのは、人間だけだと主張することもできる。人間だけが、その二つを区別したがるという意味である。本来左右の区別がないものでも、人間が勝手に定めることができるというのが、それを示している。ペンに左右の区別はないが、適当なところで区切って、こちらが右、こちらが左とすることは可能である。
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