第346話 強いとはどういうことか

 強いとはどういうことだろうか。


 アクションゲームが好きなので、それを例えに考えてみるが、強い相手というのは人によって異なる。素早い動きをする相手が強いと言う人もいれば、一撃が重い相手が強いと言う人もいる。


 ゲームはあくまでゲームなので、必ず何かしらの打開策が存在する。前者であれば、素早い攻撃をしてくることで、攻撃を受ける機会が多いのであれば、予め防御力を上げておけば良い。また、後者であれば、(一般論だが)重い一撃の前には隙があり、さらに攻撃そのものも避けやすいので、当たらない位置にいれば良い。


 ときどき、上記のような一般論が通じない相手もいる。今述べた二つの要素の複合体、つまり、攻撃が素早く、かつ一撃が重いというパターンが典型的な例である。こういう相手の場合、果たして本当に「強い」と呼んで良いものか、疑問である。というのも、こういう方向性の調整ではそもそもゲームが成り立たなくなるので、それは「強い」のではなく、「せこい」とか「ずるい」と呼ぶべきだと思われるからである。


 もちろん、チャレンジ要素として、そうした超次元級の調整になっているのならそれはそれで良い。不可能に挑戦しようとするとき、闘志を滾らせる人と、反発する人が出てくるのは、仕方のないことである。

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