第94話 感情的な演出は必要か

 日本のアニメや映画は、妙に感情を煽るように作られていると感じる。それを逆手にとった作品もあるが、多くの場合、それで終わりで、却って感情移入できない。


 主人公が挫折し、そこで友人や家族の顔を思い出して、「俺・私にもやれる!」みたいに謎の力が湧き上がってきて、目標を達成する、というのはよくあるパターンだが、あまりにも一般的になりすぎて、もはや既視感すら覚える。そういう感情的な場面を望んでいる観客が、果たして本当にいるのだろうか(いるから作られているわけで、自分がおかしいのだと思うが)。酷いときには、感情的な高ぶりさえ起これば、何でも解決する場合もある。ヒーローものなどは、こういう手法が多いが、それはそれで良いとしても、何らかの理由とか、理屈を少しでも示した方が、納得はしやすいのではないか、と感じる。


 ミステリーで対比すると分かりやすいが、日本の作品は、犯人の動機に重点を置くのに対して、海外の作品では、トリック、つまり理論に重点が置かれている。ミステリーなのだから、後者の方がそれらしいのではないか、と個人的には思う。

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