第8話 肯定する人・否定する人

 自分を肯定する人と、否定する人では、否定する人の方が重要である。もちろん、何を言っても否定する人、というのはどうかしていると思うが、それでも、何を言っても肯定する人、よりは幾分ましだと思う。


 他人から肯定されると、承認欲求が満たされるから、ついつい、肯定されたいな、と思って人と接してしまう。けれど、肯定されるということは、自分が述べた見解に何も欠点がないと認識された、ということだから、自分は何も新しい気づきを得られない、というのと同じことになる。


 一方で、他人から否定されると、少しの間は嫌な気持ちになるが、どうして否定されたのだろう、と考えるきっかけになるから、自分が新しい気づきを得られる可能性が高くなる。こうして、新しい気づきを得ることで、人は成長していくわけだから、他人から何かを否定されたということは、つまり、成長するチャンスを与えられたということだ、と受け取ることができる。これは、この上なく素晴らしいことではないだろうか。


 しかし、先述した通り、じゃあ、自分は、多くの人を成長させるために、なんでもかんでも否定しよう、というのは的外れな考え方である。

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