第296話 完全なる分類は不可能

 何かを完全に分類することはできないと思う。必ず何かしらの例外が存在する。


 分類をするのは人間だけなので、分類された結果が、初めからこの世界に存在しているわけではない。これは当たり前の話だが、当たり前すぎて意識することが少ないように思える。たとえば、言語は品詞ごとに分類されているが、それは、この世界に初めからそういう特徴として存在していたのではなく、人間の「何とかして分類したい」という願望から生まれたものである。けれど、というよりもだからこそ、完全には分類できない部分がある。言語は人間が生み出したものだが、それでさえ完全な分類は成しえられていない(完全に分類する必要などないが)。


 ここから向こうはあっち、その反対はこっちというふうに、何らかの線引きをすることで分類は生じるが、その線引きそのものが間違えていたら、間違えた分類をしてしまうことになる(間違えた分類、というのも妙な表現だが)。分類をする目的は、その分野に属するものを理解しやすく、そして扱いやすくすることだが、その一方で、それ以外の分け方を見えなくする効果もあるように思える。分類に頼らずに、存在するものを一つずつ個別のものとして俯瞰することは、非常に難しい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る