第36話 血縁はそれほど重要か?

 血縁はそれほど重要なものか、と疑問に思うことがある。


 考えてみれば分かることだが、血縁というものは、ほとんどの場合、親と子の間でしか機能しない。母親と父親はそもそも血は繋がっていないし、自分と祖父母の間に血の繋がりがあるかというと、あるにはあるが、ないともいえる、という程度のものでしかないように感じる。というわけで、実の子であるか否か、ということが問題になるときに意識される観点であるといえる。


 しかしながら、血縁なんてどうでも良いものではないだろうか? 実の子であっても、そうでなくても、家族になることはできる。もっと言えば、実の子であっても家族と不仲な人間はいるし、実の子ではない、つまり養子であっても家族との仲が良好な人間もいる。本当に重要なのは、血が繋がっているか否か、ということではなく、家族とどのような時間をどれほど過ごしてきたかだろう。つまり、本当に重要なのは血縁ではなく時間である。


 人間は様々な他者と繋がって生きているが、実際に関わるのは、家族ではない他人の方が遥かに多い。

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