第216話 「それ」ではなく「それっぽく」
完璧で絶対的なものそのものを作ろうとするよりも、どうしたらそういうふうに見えるかという「見せ方」に拘るのも、なかなか面白いと思う。
たとえば、ゲームの背景は遠くから見るとそれっぽく見えるが、拡大して見るとぼやけたり、いくつもの写真が組み合わせて作られているのが分かる。つまりは、拡大しない状態、普通の視点で見た場合に最もそれっぽく見えるようになっているのであり、その背景は現実的なものと同じように、それそのものとして描写されているわけではない。
完璧なものを目指そうとすると、どこまでも果てのない追求をしなくてはならないが、限られた素材でそれっぽく見える工夫をするのならば、それを達成することは前者に比べて容易である。無限に使える素材など存在しないため、有限の中でどのように見せるかが重要になる。小説だって、我々が実際に見ている映像がそのまま記述されているわけではなく、詳細な情報を削いだ、文字という限られた素材によって作られている。
それっぽく見えるように作られているものは、それっぽく見えているときが一番面白い。
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