第313話 子どもが義務や権利を意識する時代

 義務教育という呼び方は、あまりよろしくないと思う。この呼び方があることで、子どもたちが、勉強するのは義務なのだと勘違いすることに繋がる(自分もそう思っていた)。子どもに与えられているのは学ぶ権利であって、大人の方に子どもに学ばせる義務があるのだが、どうも義務の方が強く印象づけられてしまうように感じる。


 そもそも、これは義務だからやるとか、権利があるからやってもやらなくても良いとか、そういう考え方が根底にあるということ自体、あまりよろしくないと個人的には思う。小学生程度の子どもたちが、義務や権利ということを意識しているということは、自分の行動に何らかの理由を求めているというふうにも受け取れる。それは、理由がなければ行動しない人間へと発展するおそれがあるとも言い換えられる。


 ある人間が存在する意味や価値は、もとからあるのではない。自分が生まれてきたこと自体に意味はないが、それはそのあと自分で自分に与えることができるし、そういうものである(と思う)。幼い内から、何らかの理由があるからこうする、もしくはこうなったという考え方に毒されるのは、よろしくないことである(と思う)。

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