第81話 決められている未来

 ゲームの世界では未来が決められているが、現実世界では未来は自分で創造できるらしい。概ねその通りだと思うが、しかし、少し視点を変えれば、そんなふうに思えるだけな気がしてくる。


 現実世界でも、未来はある程度決まっていることが多い。たとえば、机の上に蜜柑が置かれていたら、自分はそれを食べるか否かを選択できるだけで、その後の未来は二パターンしかない。これはあくまで単純に考えた場合であり、ほかにも、他者にそれをあげたり、冷凍させて給食の味を再現したりなど、できることはほかにも考えられる。言い換えれば、現実世界では未来を決める選択肢の幅が広い、ともいえるだろう。ゲームの世界と異なるのはこの点である。


 自分で選択しているつもりでも、実は周囲の環境によってすでに決められていることも多々ある。たとえば、明日までにレポートを提出しなくてはならないのなら、今日どれほどほかにやりたいことがあっても、レポートを書いて提出しなくてはならない。もちろん、それを放棄することもできるが、そうすればあとあと面倒なことになって、最終的には単位を落としかねないので、やはり、書いて提出するしかない、という結論に至り、未来は自動的に一つに絞られる。


 このままこの考え方を進めると、予定説に繋がりかねないので、やめておこうと思う。

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