第261話 とりあえず謝っておく

 自分がミスをしてしまったら、たとえそこに何らかの理由があったとしても、とりあえず謝っておくのが懸命だと思う。たとえば、ボランティアで公園の掃除をしていて、遊んでいる子どもに塵の一部がかかってしまい、それを子どもの親から指摘されて、こっちは掃除してやっているのにと思っても、それを言わずに、とにかく謝ることだけに徹した方が良い(分かりにくい例え)。


 失敗には原因や理由があることが大半だが、その内、自分の側のみに原因や理由があることは稀である。一つの事態は様々な事態と関係しているから、その失敗の直接的な原因となったのが自分でも、その背後にはいくつもの偶然が重なっている。中にはそれが明確であるにも関わらず、自分だけが責められることもあるが、そういう場合でも、そのすべての原因が自分にあるかのように謝っておいた方が良い。そういうふうに謝られると、良心的な人は責めすぎたかもしれないと思うし、そうでない人は、謝ってもらっただけで満足してしまうからというのが主な理由だが、要するに、原因や理由の究明を求めている人は少数だということである。


 本当は、問題を解決するためには、謝ることは大した意味を成さない。原因や理由の究明の方が遥かに大事である。

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