第191話 映像から見る世界の捉え方

 個人的な話だが、映画やゲームの奇抜なカメラアングルが好きである。表情に違った印象を与えるために下から見上げたり、何かを長く見せるために斜めに映したりなど、見せ方によって適切な手法があるが、そういうものを見るとなぜかとてもわくわくする。


 単純に走るシーンでも、前から映すのか、横から映すのか、それとも被写体の足もとから映すのかで、見る側が受ける印象は異なる。三つ目の映し方が最もスピード感があるが、現実では走っている人を足もとから見上げることはできない。そういうふうに、いつもの自分の視点を一時的に脱して、普通なら見られない角度から見ることができるからこそ、面白いと感じるのかもしれない。


 カメラアングルはカットとも深く関係しているが、カットとは結局のところ世界をどういうふうに捉えるかということだから、そのやり方から製作者の意図を汲み取ることが可能である。もともと三次元に存在する被写体を二次元の世界に落とし込まなくてはならず、そのために必要な情報とそうでないものを適切に区別して、効果的に見せようとする態度が求められるが、そうした手法をとる場合には、視点をどこに置くかが重要になり、自分とは異なる視点で世界を見ることができるのか、試されているともいえる。


 また、現実世界では、自分自身が被写体になる場面が非常に多いことも、留意しておかなくてはならない。

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