第122話 言っていることは同じ
結局のところ、人間が言っていることは、内容がほぼ同じである。どのような状況にも共通する内容を、表現を変えて説明しているだけで、抽象化してしまえば、大した違いは認められない。
たとえば、勉強に大事なのは日々努力することだといわれるが、それは運動でも同じだし、さらにいえば、生活そのものにも当て嵌まる。勉強の場合は毎日同じ単語を覚え、運動の場合は毎日同じ距離を走り、そして、生活の場合は毎日決まった時間に眠る、という違いでしかなく、それらに共通しているのは、継続である。
子どもに勉強するように説得する親の台詞と、部活動で生徒に指導する顧問の言葉では、表現こそ違うものの、言っていることに大差はない。前者なら「勉強しないと良い大学に入れない」、後者なら「練習しないと次の大会で勝てない」といったものになるだろうが、使われている言葉が違うだけで、内容は同じである。
いくつもの事象から、共通するものを見つけて抽象化するという作業は、学校では教えてくれないが、生きていくうえで必要不可欠な能力らしい。
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