第194話 希少価値と自分にとっての価値は必ずしも一致しない

 価値とは何だろうか。


 ダイヤモンドや金は、それ自体が価値のあるものだとされている。それは、それらの鉱石が地球に限られた量しか存在せず、入手できる人が限られているからである。一般的に希少価値と呼ばれるものだが、世の中で「価値がある」と謳われているものの大半は、この希少価値に属する。


 しかしながら、希少価値があるものが、自分にとっても価値があるものだとは限らない。個人的には、ダイヤモンドや金に価値は感じない。綺麗だとは思うが、それを欲しいとは思わないし、持っているだけで何の役にも立たない鉱石など、そこら辺に転がっている石と何ら変わらないとさえ感じる。


 数が少ないから価値があるという意味では同じだが、自分にしか価値のないものというものも存在する。たとえば、自分で作った創作物や、誰かから貰ったプレゼントなどがそれに当たる。それらのものは、反対に自分以外の人にとっては、何の価値もない。あくまで自分にとって大切だというだけである。


 世間的な価値、いわゆる希少価値というものには、あまり意味はないと思う。なぜなら、それは集団で生きる人間の中で醸成された、幻みたいなものだからである。

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