第349話 名言の必要条件

 名言が生まれる必要条件は、それが予定されたものではないことである(と思う)。


 あくまで経験則なのだが、名言を言おうとして考えても思いつくことはないし、自分で良いものが思いついたと思って、実際に発言しても、それが名言として捉えられることはない。名言が名言たりえるためには、それがたまたま発せられたものでなくてはならない。例えがチープだが、まるで天から舞い降りてきたかのように、偶然この世に顕現したものが、名言として相応しい。


 名言に限らず、これは創作にもいえることだと思う(名言も創作の一種か)。名作を作ろうと思って作ることはできない。作品を作り上げて、世に出したとき、たまたま名作として認識されるからこそ、それは名作となる。名作は初めから名作として生まれてくるのだ、という意見もあるが、個人的にはそうは考えない。そういう捉え方も神秘的で良いが、作品は周囲の評価を得て初めて完成するように思える。


 同様に考えると、偉人は偉人として生まれてくるのではない、ということになる。生まれてからどのように生きるかによって、偉人になれるか、そうでないかが決まる。

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