第382話 考えても仕方のないこと

 考えても仕方のないことがある。その代表例として、死後について考えることが挙げられる。死んだらどうなるのかということは、哲学と聞いて真っ先に思いつくことだが、未だに解明されていない命題の一つである。


 「死んだらどうなるのか」という問い自体への答えはないが、その問いへの対処方は確立されている。それは、死んだらどうなるのかは、実際に死んでみないと分からないから、生きている我々には分からない、だから考えても仕方がないというものである。死んでみないと分からないということは、死んだら分かるともとれるが、死んでも「分かる」状態を維持できるか分からないので、結局のところ分からないという理屈である。


 人間も動物なので、望んでいなくても、必ず寿命を迎えて最終的に死に至る。そういう意味で死が約束されているわけだから、今試しに死んでみようとする必要はない。今は生きているのだから、「生きている」の範疇でできることをすれば良い。死んだらどうなるのか分からないのだから、分からない方向に向かうのは得策ではない。

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