第321話 宇宙は本当に存在するのか?

 宇宙が存在すると信じることは、異世界が存在すると信じることと大して変わらない。


 小さい頃から、私たちは地球という星に住んでいて、そして、その地球は宇宙という広大な空間に浮かんでいる、と教えられてきたので、現代に生きる多くの人間が宇宙というものがあると無意識の内に思い込んでいるが、どうしてそんなことが分かるのだろうか。たしかに、朝になれば毎日太陽が昇ってくるし、夜になれば月が姿を見せるから、この地球の外側に異なる星が存在するらしいことは分かるが、だからといって、それが宇宙が存在することの証拠にはならない。要するに、宇宙に行ったことがないのに、それでも宇宙が存在すると思うことは、合理的(?)ではないということである。


 そういう意味で、宇宙が存在すると信じることと、異世界が存在すると信じることはあまり変わらない。異世界に行ったことはないわけで、だから存在するか分からない。それは宇宙の場合も同じである。また、同じ理由から、自分にとっては、アメリカ大陸が存在するのかどうかも分からない。


 宇宙は無限に広がると言われて、そんなわけないだろう、と思う人はあまりいないようである。無限というのがどういう状態か、まったくといって良いほど想像できないというのに……。

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