第510話 確率は過去、可能性は未来

 確率と可能性はしばしば混同して用いられますが、確率は過去のイメージ、可能性は未来のイメージだとすれば、少しは分かりやすいのではないでしょうか。


 確率というのは、百、つまり全体が決まっている場合に使える考え方で、この場合、全体が決まっているということはデータがある、あるいは、直接的ではなくても、いつどこでも成り立つ真理のような形でデータを抽出できるということなので、過去の素材を用いているといえます。


 一方で、可能性というのは、確率とは違って、全体が分からなくても用いることができる考え方で、この場合、全体を無視して、高いか低いかで述べることができます。そして、確率というのがこれまでのデータを見て、百に換算した内のどれくらいか、ということを述べるのに対して、可能性の方は、そうしたデータを基にすることはできても、これから起こることに関しては分からないので、高低の概念を用いて未来についてぼんやりと述べるのです。


 サイコロを振って一が出る確率は、我々の経験からデータを抽出できますが、明日地球に隕石が降ってくる確率は、未来のことであるが故に分からず、とりあえず、可能性は低いね、という形で差し出すしかないということです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る