第2話 文章はそれ自体が最小単位

 文章は、決して因数分解してはいけない。


 全体として成り立っているものを、分解して個として見ようとすると、全体が何を表わしているのか分からなくなる。たとえば、文章は、一つ一つの文が組み合わさって作られているが、それを、文単体として見たり、あるいは、文をさらに細かく区切って、単語として見たりすると、もう、文章として、それが何を伝えようとしているのか、分からなくなってしまう。


 文の場合、ある一文だけ見ると変に見えても、前後の関係を視野に入れて見れば、特におかしくない、ということが多い。これは、つまり、そもそも、それ一つだけで成り立つ文というものは存在せず、いくつかが合わさってできた文章というものが、それ自体で最小単位として存在することを意味している。


 これは、単語の場合も同じで、ある一つの単語は、前後の関係から導き出されたもので、それ単体で存在するわけではない。だから、単語のチョイスが少しくらいおかしくても、前後に存在する別の単語が、その単語の意味を補強してくれる。


 というわけで、一つの単語や、文を、必要以上に拘って作る必要はない。

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