独り法師ロジック

第85話 人間的な関係

　付き合っている人を恋人と呼ぶのなぜだろう。恋愛という単語からも分かるように、恋と愛は似通ったものだが、恋というのは、どちらかというと瞬間的で、愛の方が永続的な印象を受ける。しかし、それなら愛人という呼び方に変えれば良いかというと、それでは意味が変わってしまう。

　愛人の方が永続的な関係を築きやすい、ということかもしれない。愛人というくらいだから、毎日一緒にいるわけではないだろうし、間を空けて定期的に会う方が、関係は長く続くと思われる。反対に、恋人は比較的一緒にいる時間が長いから、その分相手に飽きやすい。

　人間を一つの生物として捉えるなら、愛人関係を築く方が合理的だといえる。一人と関係を持っているだけでは、種を残す観点から不充分といわざるをえない。複数人と関係を持った方が成功する可能性は高くなる。

　人間は、どうしてこういう回りくどいことをするのか、と疑問に思う。食事もその一つだが、あんなに時間をかけてエネルギー補強をする生き物は、非常時には生存率が低くなってしまうのではないだろうか。