　難しいとは、手続きが多いという意味である。

　たとえば、数学で難しい問題といわれるものは、答えに辿り着くまでの計算のプロセスが複雑なものを指す。様々な過程を経て答えに至るわけだが、最初の段階では複数の可能性があり、その内のどれかを選んで次に進んでいく。これは、言い換えれば、考えられる可能性をすべて検証すれば、最終的には答えに辿り着く、ということだから、つまりは手続きが多いと言い換えられる（思いつかないような、特異な可能性を要求されるものもある）。

　ほかにも、理解が難しい文章というのは、主述の関係がどこで成り立っているのか、またどの単語がどの単語を修飾しているのか、分かりにくいものを指す場合がほとんどだが、これも、考えられる可能性をすべて考慮すれば、必ず何を言いたいのか分かる（この場合、解釈が複数生じることもある）。

　重要なのは、難しいことやものは、決して解けないわけではなく、時間をかければ解けるという点だろう。時間をかけるのを避けている限り、問題はいつまで経っても解決しない。