第65話 サンドラのクラスチェンジ
「ハアアアアッ!」
サンドラの[イヴァン]がプラーミャの
『アハハハハ!』
必死に攻撃を仕掛けるそんなサンドラを見て、プラーミャは
『ホラホラ! ドウシタノ? 避ケナイト死ンジャウワヨ!』
「クッ!」
[イリヤー]は短槍を無数に繰り出し、[イヴァン]は防戦一方になる。
だけど。
「アウッ!?」
『アハハ、ダカラ言ッタジャナイ?』
元々攻撃力はピカイチだが、その『俊敏』のステータスが低い[イヴァン]は、[イリヤー]の攻撃の全てを捌き切れず、右肩に攻撃を食らってしまった……いや、よく見ると、既に数か所負傷しているようだ。
『アハハハハ……ハア。ネエ、サンドラ……』
「……何ですノ?」
二人が同時に距離を取ると、プラーミャが溜息を吐きながらサンドラに話し掛ける。
『家ヲ出ルナンテ馬鹿ナ真似ハヤメテ、今マデ通リ“出来損ナイ”ラシク、パパヤママ、
「…………………………」
『ネ? ソウシナサイ?』
優しく諭すように語りかけるプラーミャ。
だけど、その表情はあからさまにサンドラを見下し、馬鹿にしていた。
「フフ……」
『? サンドラ?』
突然笑うサンドラに、プラーミャは不思議そうな表情を浮かべながら声を掛ける。
「……今まで、パパやママ、プラーミャはこのワタクシのことをそんな風に思っていたのですネ……なのに、ワタクシはみんなが気遣ってくれているものとばかリ……」
『ドウシタノ? ショックヲ受ケタ? デモ、コレガ現実ヨ?』
大声で叫びたかった。
あんなに毎日必死で頑張って、強くなって、成長してきたサンドラを馬鹿にするな、って。
でも……そんなもの、この俺がいくら言ったって響かない。
なら。
「サンドラ!」
俺はただ、サンドラの名前を叫んだ。
高々と、拳を突き上げて。
「…………………………プ」
『?』
「フフフ! 本当に、ヨーヘイはバカ! こんな家族にだって“出来損ない”扱いを受けるワタクシを誰よりも信じてくれて、認めてくれて!」
『サンドラ……』
「モウ……こんなの、やるしかないじゃなイ! 頑張るしかないじゃなイ! だから……見てなさイ! ヨーヘイ!」
サンドラは不敵な笑みを浮かべ、キッ、とプラーミャを見据えた。
『アハハ! マダ戦ウ気ナノ? モウ分カッテルデショウニ! コノ
そう言うと、[イリヤー]が短槍を構え、[イヴァン]に向かって突撃し、直前で真上に飛び上がった。
『アハハハハ! コレデ終ワリ! 【
[イリヤー]の短槍が真っ赤に燃え盛り、
というか、さすがにあれはマズイ! あんなもの食らっちまったら、『耐久』が“S”の[イヴァン]でも耐え切れない!
「サンドラ!
自分で言ってから気づく。アレをどうやって
だけど。
「フフ……ヨーヘイ、ワタクシは負けなイ! 信じてくれる、アナタのためにモ! だかラ!」
「っ!? サンドラ!?」
なんと、サンドラは
あ、あんなの自殺行為だろ!
その時。
「クラスチェンジ……開放!」
は? サンドラの奴、今……何て言った?
クラスチェンジ……だってえええええ!?
すると、突然[イヴァン]の身体から幽子が放出され、その渦に包まれた。
『ナ、ナニガ……!?』
プラーミャもいきなりのことで、困惑した表情を浮かべる。
そして、[イリヤー]の
――ガキン。
『ッ!?』
渦の中から重厚な金属の盾が現れ、[イリヤー]の
それと同時に、今度は荘厳な装飾が施された金属のメイスが[イリヤー]へと襲い掛かる。
『ガアッ!?』
[イリヤー]が弾き飛ばされると同時に、そのマスターであるプラーミャも吹き飛んだ。
幽子の渦が全て消え去り、俺達の目の前に[イヴァン]がその姿を現……っ!?
「はあああああああああ!?」
それを見た瞬間を俺は思わず叫ぶ。
いや、だって、仕方ないだろ!? 本来なら、[イヴァン]は[トール]へとクラスチェンジするはずなんだ!
なのに現れたのは……歴戦の勇士というような髭を生やしたオッサンが頑強な肉体にメイスと重厚な盾を持ち、鎧と稲妻をその身にまとっているんだぞ!? 一体どうなってるんだ!?
「フフ……この
「あ……!」
サンドラが
そういえば、あの時……!
「どういうわけカ、クラスチェンジ先は二つあったんですけド……結局、コチラを選びましたワ」
「そ、そうか……」
いや、サンドラのクラスチェンジが選択式だなんて、『まとめサイト』に書いてなかったじゃん!
でも……これって、俺と[シン]の時と同じように、『まとめサイト』にはない
「さあ……プラーミャ、続きをはじめますわヨ!」
『アハハハハ! タカガクラスチェンジヲシタ程度デ、ヤー《ワタシ》ニ勝テルト思ッテルノ?』
「エエ! 勝てますワ! この……[ペルーン]なラ!」
サンドラはそう宣言すると、[イヴァン]改め[ペルーン]は[イリヤー]へと突撃した。
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