第52話 アルカトラズ領域
「おお……!」
早速俺と先輩は扉をくぐると、そこはテレビのドキュメンンタリー番組や映画に出てくるような、まさに
ちなみに、ここの
サンドラに至ってはレベルもまだ四十にすら到達しておらず、クラスチェンジもしていないから、普通に考えればこの
だけど……サンドラの
というのは、この“アルカトラズ”
なので、少なくともサンドラが受けるダメージは単純計算で半分となる。これは、攻略において非常に大きなアドバンテージだ。
つまりは、この三人でこの
「それで……とりあえずどんなところか知るためにも、せめてこの階層だけでも探索してみましょうか?」
「うむ……そうだな」
俺の提案に、少し考えた後に先輩は頷いた。
「でしたら、俺と[シン]が前で斥候の役目をしますので、先輩は俺の後ろへ」
「む……ふふ、そうだな。頼りにしているぞ、望月くん」
はは、先輩に『頼りにしている』って言われたぞ!
これは、俺達がシッカリ先輩を護らないと!
「さあ[シン]! 行くぞ!」
『ハイなのです!』
俺と[シン]は警戒しながら通路を慎重に進む。
先輩も、背後を含め警戒を怠らない。
『!
通路の奥に
あの巨大な蟹の形をした
「先輩! ここは俺達が仕掛けます! 先輩はその後にとどめを!」
「分かった!」
「[シン]! 動きを止めてから甲羅を破壊するぞ!」
『任せるのです!』
[シン]は素早い動きでザラタンに何もさせないままにその甲羅の上に立つと、ペタリ、と二枚の呪符を張り付けた。
『【縛】! 【裂】!』
『ギチギチギチギチッ!?』
ザラタンは身動きが取れなくなると同時に、もう一枚の呪符によってその頑丈は甲羅に亀裂が入った。
「先輩! 今です!」
「おおおおおおおおおおおおおッッッ!」
俺の指示を受け、[関聖帝君]はザラタンに一気に詰め寄ると、その亀裂目がけて青龍
『ギチッ!? ……ギ……ギイ…………』
そしてザラタンは沈黙し、幽子とマテリアルへと変わった。
「先輩! お見事です!」
「ふふ、やったな」
俺と先輩はハイタッチを交わす。
だけど、先輩はともかくとして、俺達の呪符が普通に通用したのは大きかった。
レベルに差があるから、状態異常系の【縛】はひょっとしたら通用しないかも、なんて考えたが、無事通用しているところを見ると、レベル差で効果に影響はなさそうだな。
「ふふ……なかなか見事な連携だったな」
「はい! 先輩と俺は、最高のコンビですよ!」
「あう!? そそそ、そうだな……」
俺の言葉に、先輩が恥ずかしくなってまた両手で顔を覆ってしまった……。
◇
「ふう……」
目の前の“エレクトイール”にとどめを刺し、俺は深く息を吐いた。
とりあえず、“アルカトラズ”
それに、先輩も水属性の
これを、最上階である第二十階層までこなしていかないといけないのかー……。
しかも、
「ふむ……望月くん、今日のところはこれで引き上げよう」
「ですね……」
先輩の提案に頷き、俺達は
途中、ザラタンが三体同時に現れた時はどうしようかと思ったが、そこは実戦経験豊富な先輩。その的確な指示でザラタンを各個撃破し、終わってみれば無傷の圧勝だった。
うん、ザラタン相手ならもう大丈夫そうだな。
そして。
「あー! 疲れたー!」
扉をくぐって元の世界に戻ると、俺は思い切り伸びをしてそう叫んだ。
いや、やっぱりここは、“グラハム塔”
「ふふ……もうすっかり暗くなってしまったな」
先輩の言葉を受けて空を見上げると、既に月が明々と輝いていた。
「ですが……今日のこと、俺は一生忘れません」
「む? どういうことだ?」
「だって今日の
「あう!? そ、そうか……今日は、私と望月くんの、パートナーとしての初めての攻略になるんだったな……」
「はい!」
もちろん、これから先もこうやって、俺は先輩と一緒に色んな
そのためには、この“アルカトラズ”
それは、先輩の
だから……。
「? 望月くん?」
俺がジッと“アルカトラズ”
「あ、ああいえ……何でもありません」
「?」
この
そう心に誓いながら改めて扉を
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