第182話 覚悟と決意のはき違え
「ひ、氷室先輩、その……今言った、
「っ!?」
そう尋ねた瞬間、氷室先輩が息を飲んだ。
「氷室先輩……?」
「……いえ、特に隠すつもりもなかったのですが、実はこの
「「「え……?」」」
氷室先輩の告白に、俺達三人は声を漏らした。
この“レムリア”
「はい……」
氷室先輩は、その似ているという
学園に入学した直後、近所の公園で妹さんを遊ばせていた時に、
その
そして。
「……ひょっとして、この
「…………………………」
間違いない。
氷室先輩が知っているというその
「それで……その
「はい、ただ一本の細い道が延々と続く、不思議な
そうか……となると、氷室先輩が偶然見つけたっていう
「そ、それで氷室先輩は、ひょっとしてその
俺は慌てて尋ねると、氷室先輩は無言で頷いた。
い、いやいや!? あの
「い、一体どうやって……!?」
「いえ……もちろん、私も
氷室先輩はそこで一拍置くと、顔を上げてジッと俺を見た。
「[ポリアフ]にクラスチェンジをしたことで劇的に強くなった私は、先程みなさんも見た【スナイプ】で、先日一気に踏破しました」
そうか……確かにあの【スナイプ】なら、
それに“葦原中国”
視界を奪うなどの状態異常系のスキルや高威力のスキルを持つ
とはいえ。
「氷室先輩も、かなり無茶をしますね……」
「ふふ……弱かった私は、人一倍
氷室先輩は胸にそっと手を当て、瞳を閉じて柔らかい表情を浮かべた。
うう……氷室先輩の気持ちはメッチャ嬉しいけど、その、好感度が大変なことに……。
「むううううううう! な、ならこの私も、君が踏破したというその
「ワ、ワタクシだって……ワタクシだって!」
いやいや二人共、何言ってるの!?
「せ、先輩、待って下さいよ! サンドラも落ち着け! もちろん氷室先輩が踏破したっていう
「な!? ど、どうしてだ! 氷室君がソロで踏破した以上、私もそうしなければ立つ瀬がないじゃないか!」
「そ、そうですわヨ! そうじゃないと、ワタクシがアナタの隣に並ぶ資格ガ……!」
俺は二人をなだめるが、一向に話を聞かず、ずい、と詰め寄ってくる。
しかも、俺の隣に並ぶ資格ってなんだよ……!
「二人共聞いてくれ! 俺の隣に並ぶのに、資格とかそんなモンないから! そもそも俺は、二人にはこれからも、俺の隣にいて欲しいだけなんだから!」
「「っ!」」
ああもう……恥ずかしい……。
だけど、これが俺の本心だ。
俺は……ずっと俺を信じてくれる、見ていてくれる二人に、傍にいて欲しいんだ。
だから。
「……俺はそんなくだらない意地みたいなモンで、二人が危険をさらすようなこと、ゴメンだからな……」
そう言うと、俺はプイ、と顔を背けた。
二人のその無駄な覚悟と決意に、少しだけ怒っていたから。
「あう……す、すまない……」
「ゴメンナサイ……」
すると、二人は珍しくシュン、と
ハア……しょうがない、なあ。
「あう!?」
「フエ!?」
「あーもう! ホラ、サッサと
俺は
二人には、落ち込んでほしくないから。
「あう……ふふ……分かったよ」
「モウ……ヨーヘイのバカ……」
二人は頬を少し赤くしながらはにかむ。
はは……やっぱり二人は、そんな表情のほうが好きだな。
「……私も、まだまだ足りませんね……(ポツリ)」
「? 氷室先輩?」
「……いえ、何でもありません」
少し暗い表情を浮かべた氷室先輩が気になったが、とりあえず、祠で氷室先輩に【火属性反射】と【氷属性反射】を取得してもらい、“アトランティス”
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