第244話 真打
「クラスチェンジ……開放」
近衛スミが静かにそう告げると、[
だけど、やっぱりクラスチェンジの条件を満たしていたか……。
「ヨーヘイ……どうするんですノ?」
「決まってる。コイツも倒して、全部終わらせるだけだよ」
俺は[
「ちょっと待ってよ! 彼女を倒すのはボクだよ!」
立花は、俺の言葉に聞き捨てならないとばかりに反応し、抗議した。
「はは、分かってるよ。俺達はあくまでも、この近衛スミを逃がさないようにするだけだ。だから、立花」
俺は顔を上げ、立花の
「絶対に勝てよ」
「! うん!」
俺の言葉に、ぱあ、と満面の笑みを浮かべる立花。
というか、その笑顔は完全に女子のソレだな……。
「そしてサンドラは、プラーミャと土御門さんの戦いの様子を見ておいてくれ」
「分かりましたワ!」
その間にも、[
……まあ、ここまでくると、そんなこともあり得るかとは思ったけどな。
「ふふ……これがクラスチェンジを果たした私の
そう言うと、近衛スミは口の端を三日月のように吊り上げ、不気味に
はは……『まとめサイト』では、近衛スミのクラスチェンジ後の
というか、その出で立ちも変わり過ぎだろ。
[春日権現]が
「ふふ……何故だか分かりませんがクラスチェンジ先の選択肢が二つ現れ、こちらを選ばせていただきました。だって……[エルジェーベト]のほうが、私に相応しいと思いませんか?」
「いや、思わないけど!?」
クスクスと笑う近衛スミに、俺は思わずツッコミを入れてしまった。
だって、どう見ても清楚系美人の近衛スミと、派手な西洋スタイルの
「あのさー……」
「「っ!?」」
恐ろしく低い声で、立花が横やりを入れてきた。
あ、コレ……メッチャ怒ってるっぽい。
「分かってるかなあ? オマエの相手は、このボクなんだよ? なのに、なんで
うわあ……怒りのあまり、立花の額に青筋が浮き上がってる……。
だけど立花、俺はお前のものじゃないぞ?
「ふふ、そうですね。確かに、まずは
そう言うと、[エルジェーベト]がス、と右手を差し出した。
「【リストレイント】」
「っ!?」
突然、目の前に特殊な形状の手錠が現れ、立花の
「……へえ。これで身動きできないようにするってこと?」
「さあ? どうなんでしょうね」
嬉しそうに口の端を持ち上げる近衛スミは、そんな立花を無視するかのようにプラーミャとの戦闘を続けている土御門さんの元へと近づいた。
「ふふ……最初に言った通り、あなたが負けた場合は、『近衛家』の総力を挙げて『土御門家』を排除します。役立たずを飼っておくほど、『近衛家』は暇ではありませんから」
「っ! そんなことは分かっておるわ!」
近衛スミの言葉に、土御門さんが珍しく声を荒げる。
「ハア……人の弱みにつけ込んでいたぶるって、本当にメイザース学園の生徒会長は終わってんな」
「何を言うんですか。飼い犬を
「愛情? オマエのそれは、単に人を追い込んで楽しんでるだけだろうが!」
俺は近衛スミに対して吠えるものの、全く意に介さないコイツは、やれやれと言わんばかりに肩を
「あはは、しょうがないよ望月くん。コイツは、桐崎先輩とは違うんだから」
「……へえ」
お、立花が先輩を引き合いに出したら、チョット反応しやがったぞ?
「まあなー。うちの先輩は優しくて強くて綺麗で、どこぞの生徒会長なんざ足元にも及ばないよなー。実際、先輩と直接戦ったりしたら、アッサリ倒されるんじゃないの?」
「あはは! 言えてる!」
俺はわざと
「……所詮は学園長の娘というだけの、大して地位も由緒も正しくない、平民風情ですよ? まあ、そんな彼女をそこまで慕うあなた達も平民ですが」
「え? ひょっとしてソレ、俺達を
「っ!」
はは、キレやがった。
やっぱり俺って、主人公の個別パラメータみたいに、『
「プ……ププ……ヨーヘイ、あまり
「ホ……ホホ……ッ!」
気がつくと、戦闘中であるはずのプラーミャと土御門さんがお互い手を止め、必死で笑いを
「ハア……木崎さんがあなたを憎む理由、分かりますね」
「そう? それよりも、そうやって俺なんかに構ってていいの?」
俺はニヤリ、と笑いながらそう言うと。
「あはは! ホント馬鹿だね! 【
立花は【
だけど。
「「っ!?」」
「ふふ……本当に愚かですね。そんな幼稚な手が、この私に通用すると思っているんですから」
すると【
そして。
――グシャ。
骨と肉が潰れる嫌な音が響いた。
うわあ……このシーン、今日二回目なんだけど。
「ふふ……そもそも私の[エルジェーベト]のレベルは
そう言うと、近衛スミがクスクスと笑う。
だけど、レベル八十五もあるのかよ……確かに、ちょっと厄介かもな……。
「このまま大人しくして、そうですね……私の靴を
「はは、冗談」
「そうだよ! レベルが高くても、ボクの[女媧]だって負けてない!」
「ふふ……本当に、威勢だけはいいですね」
なおも
その時。
「ふむ……今の戦いを見る限り、そのレベルに見合った強さを備えているとは思えんがな」
「っ!?」
その声に、俺は慌てて振り向く。
というか……なんでここにいるんですか……なんで、そんなに都合よく現れるんですか……!
「ふふ……みんな、よく頑張ったな」
現れたのは、団体戦の真っ最中であるはずの、俺が憧れるたった一人の
――桐崎サクヤ先輩だった。
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