第187話 クラス代表選考会 開幕
先輩とサンドラが俺の家に来た次の日の月曜日。
「ふふ……望月くん、今日の体調は万全か?」
「はい! もちろんです!」
学園に向かう通学路の途中、隣で微笑む先輩に向け、グッ、と親指を突き立てて笑顔で答える。
今日から三日間、メイザース学園との団体戦に挑むクラス代表を決める選考会が行われ、しかも初日の今日は一年生のクラス代表を決めるんだから、気合いも入るってモンだ。
とはいえ。
「ま、まあ、ちょっとウチのクラスは強敵が多すぎですけどね……」
俺は、前のほうで加隈に追いかけ回されている立花を見ながら苦笑した。
いや、俺がクラス代表になるためには、サンドラやプラーミャ、それに
「だが、まずは彼等を倒さねばクラス代表にもなれん……言わなくても分かっていると思うが、君が最強を目指すのなら、彼等もまた避けては通れない
「はい」
そうだな……サンドラ達は大切な仲間なのと同時に、お互いに最強を目指すライバルなんだ。
そして、それは隣にいる先輩も。
「ん? 私の顔を見てどうした?」
「はは……それはもちろん、気合いを入れるためですよ」
そうだとも。俺が最強を目指す理由……それは、この先輩を最悪のシナリオから救い出して、一緒にハピエンを迎えるためなんだから。
「それにしても、学園も気が利きますよねー! 授業を免除して、各学年の選考会を観戦できるようにしてくれたんですから」
俺は何の気なしにそう話すと。
「あう!? そそ、そうだな……」
焦りの表情を見せた先輩が、フイ、と俺から視線を逸らした。
あー……多分コレ、先輩が学園長にかけ合って、観戦できるようにしたんだな……。
だったら。
「……先輩、見ていてください。俺、絶対に勝ち上がってみせますから……!」
「ふふ、もちろんだとも。期待してるぞ」
そう言うと、先輩が俺の背中をバシン、と叩いた。
◇
「えへへ、望月くんとは決勝で戦いたいなあ」
朝のHRを終えてグラウンドに向かう途中、隣の立花がはにかみながらそんなことを言った。
「アラ……残念ですけと、決勝でヨーヘイを倒すのはこのワタクシですわヨ!」
俺を挟んで立花の反対側にヒョコッと現れたサンドラがそう宣言する。
はは、サンドラも気合十分だな。
「キャッ!?」
「フフ……今日はこの
後ろから突然サンドラに抱きつくと、プラーミャはニヤリ、と口の端を持ち上げた。
「おーおー、俺は一―三でなくてよかったぜ。つか、そうじゃなかったら立花と一緒に代表に選ばれねーしな」
などと肩を
というかお前、自分のクラスに戻れよ。
「もー! なんで加隈くんがここにいるのさ! 自分のクラスに戻りなよ!」
「そうヨ! なんでアンタがここにいるのヨ! シッシッ!」
「ヒドイ!?」
うわあ……同じチームの二人から集中砲火浴びてやがる。
コイツのチーム内での立ち位置って一体……。
「わ、分かったよお……」
背中に哀愁を漂わせ、加隈はすごすごと自分のクラスへと戻って行った。うん、まあ……頑張れ。
で、俺達はグラウンドに着き、先生の指示に従って整列する。
俺は周りをキョロキョロと見回すと……オーオー、どいつもこいつも気合入った表情してるなあ。
「……それでは、ここに選考会の開会を宣言します。生徒のみなさん、頑張ってください」
学園長の挨拶と開会の宣言が終わり、各クラスは会場となる舞台へと向かう。
すると。
「あ……!」
三年生の列の中にいる先輩と目が合った瞬間、先輩は微笑みながら手を振ってくれた。
はは……先輩、見ててくださいね。
「さあ! それじゃ、予選となるバトルロイヤルのくじ引きをするぞ! 出席番号順に並んで、くじを引くように!」
妙に張り切っている葛西先生の指示に従って並ぶと、列は順に進んで行き、いよいよ俺の番になる。
「えーと……俺は四番ですね」
「お、そうか! 望月……頑張れよ!」
そう言うと、葛西先生はバシン、と背中を叩いて激励してくれた。
うう……本当にウチの担任、いい先生だなあ……。
「望月くんは何番だった?」
すると、先にくじを引き終えた立花が尋ねてきた。
「おう、俺は四番だったよ」
「ホント! ボクは一番だったから、別になれたね!」
俺が答えると、立花はぱあ、と笑顔を見せ、嬉しそうに俺の手を握りやがった……。
というか立花の奴、なんでこんなに手が柔らかくてすべすべしてやがるんだよ。
「ヨーヘイ! どうだったんですノ!」
今度はサンドラとプラーミャがやって来て、同じように尋ねる。
「俺は四番だったけど、サンドラとプラーミャは……って」
そう答えた瞬間、プラーミャが口の端を持ち上げた。
「フフ……
はは……まさか最初のバトルロイヤルで、いきなりプラーミャとかよ。
俺は思わず苦笑した後、プラーミャの前に立った。
「そうだな。お前こそ、俺に負けて泣いたりするなよ?」
「アラ、言うじゃなイ。マア、その言葉はそのまま返すけド」
俺とプラーミャは、お互いクスクスと笑い合った。
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