第207話 クラス代表選考会 一年生代表決定!
「う……うう……」
「っ! 立花!」
先生の勝ち名乗りの直後、俺はダメージを受けて倒れ込む立花へと、[シン]を抱えながら慌てて駆け寄る。
「あう……い、今の、って……?」
「あれは……三つある[シン]の【神行法】の最後の一つ、【神行法・転】。対象となる相手と自分の位置を一瞬で入れ替わるスキルだ」
「あ、あはは……そっか……」
「おい! 立花!」
俺は立花を抱きかかえ、声を掛ける。
「あは……大丈夫、だよ……何と言っても、【竜の恩恵】はまだ発動中だったからね……それに……【
いつの間にか
すると、【
「これが……【
「ふう……うん。【
【
「あはは……また、負けちゃったね……」
「ああ……本当の意味で、紙一重でな。しかも、【神行法・転】もお前にバレちまったし、次は通用しないだろうからなあ……」
そう言うと、俺は苦笑しながら肩を
だけど実際そうだし、【神行法】も三つで打ち止めだからなあ……。
立花に確実に勝てるようになるには、やっぱり二年生の春の[
といっても、立花は立花で、主人公限定の
などと思いを巡らせていると。
「望月くん!」
「ヨーヘイ!」
「望月さん!」
先輩、サンドラ、氷室先輩が、観客席から笑顔で俺の名前を叫んでいた。
「あはは! ホラホラ、みんなの声援に応えないと!」
「わっと!?」
立花にバシン、と背中を叩かれ、俺は思わずよろめいてしまう。
でも……そうだな、ずっと俺を応援してくれた三人には、本当に感謝しかない。
サンドラと戦えなかったのは残念だけど、この交流戦イベはまた来年にも開催される。
その時こそ、サンドラと……!
俺は、三人に応えるように両の拳を高々と突き上げると。
「みんなあああああ! やったぞおおおおお!」
『はうはうはう! やったのです! やったのです!』
最高の相棒、[シン]と一緒に、この喜びと感謝を込めて、大声で叫んだ
◇
「それでは、ただ今から表彰式を行います」
各クラスを勝ち抜いて代表の座を手に入れた三人が、舞台の上で学園長の前に並ぶ。
「くうう……ヨーヘイが代表に選ばれたのは素直に嬉しいけどよー……立花とは一緒になれなかったんだよなー……」
「ハア……お前、まだそんなこと言ってるのかよ……」
拳を握りしめながらある意味悔しそうにする加隈に対し、俺は溜息しか出ない。
すると。
「ふふ……二人共面白い奴だな」
加隈の隣にいる一―一の代表、“賀茂カズマ”が、俺達を見てクスクスと笑う。
「いや、俺を加隈と一緒にするなよ! 三枚目キャラはコイツ! コイツだからな!」
「ヒデエ!?お 前、裏切るのかよ!?」
「うるせー!」
などと加隈とわちゃわちゃしていると、賀茂はますます笑い出した。
「ハハハハハ! 本当に面白いな! 二週間後の交流戦が今から楽しみになってきた!」
「「そ、そう……?」」
俺と加隈はお互い手を止め、腹を抱えて笑う賀茂を見てキョトン、としてしまう。
「ま、まあだけど、賀茂の
「ハハハ……ん? オレの[
「そうそれ! あの
「ハハハ! そうだろう! オレもかなり修練を重ねてきたからな!」
そう言うと、嬉しそうに笑う賀茂。
立花が中性的なイケメンであるのに対し、この賀茂は眼鏡をかけていることもあって、理性的なイケメンって感じだな。
というか、この容姿と
「コホン」
「「「あ……」」」
見ると、咳払いをしながら学園長が苦笑している。
「ハハハ……優勝者同士で仲が良いのはいいが、まずは表彰式を済ませてからにしてくれるかな?」
「「「は、はい……」」」
こうして、俺達三人は学園長からお祝いの言葉と小さなトロフィーを受け取り、無事に表彰式を終えた。
……まあ、トロフィーを渡された時に『トロフィーはいくらでもくれてやるが、サクヤはやらん』と、真顔で言われた時には本気で困ったけど。
これは……いずれ学園長と決着をつけないといけない時がきそうだな。
などと余計なことを考えながら、俺は舞台から降りた。
微笑みながら惜しみない拍手を送ってくれる、先輩を見つめながら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます