第320話 わらわの認めた男
「さあて……」
加隈からメッセージが届いた後、俺達はサクヤさん、中条と合流し、授業をサボって“バベル”
もちろん、賀茂カズマとケリをつけるために。
「クク……こちらが
「ああ……」
くつくつと笑う中条に、俺は静かに頷く。
確かに、数の上ではこちらが圧倒的に不利だ。しかも、賀茂の奴も『攻略サイト』か、それに近い
当然、自分自身とヒロイン達の強化はしてあるはずだ。
だけど。
「……コッチには、サクヤさんと中条が……サンドラが、プラーミャが、そして、アオイがいる」
そう。俺達には、『ガイスト×レブナント』における最強の
それだけじゃない。サンドラだって、ゲームに名前しか登場しないプラーミャだって、本来のゲームの仕様とは違う強さがあるんだ。
そして……『ガイスト×レブナント』最弱だった俺には、
だから。
「賀茂……オマエが“バベル”
「「「「「おー!」」」」」
俺達は気勢を上げると、いよいよ“バベル”
「……誰もいませんわネ」
「そうだな……だけど、階層を進んで行けば絶対にいるはずだから、警戒は怠らないようにしよう」
俺達はいつも以上に慎重に、そして、最短距離で各階層を進んでいく。
途中、わらわらとヘリオガバルスが現れるのは
「ふむ……次で第十階層、か……」
上へと続く階段に足を掛けたところで、サクヤさんがポツリ、と呟く。
「そうですね……キリがいいですし、ひょっとしたら第十階層で待ち構えているかもしれません」
「そうだな……それに、さすがに賀茂カズマや他の連中も、それほど上の階層まで進んでいるとも思えん」
「ええ」
サクヤさんの言葉に、俺は頷いた。
「だけど……どうしてアイツは、この
アオイが誰ともなく尋ねるけど、俺からすればアイツがここを選んだことに、少しだけ頷ける。
まず、この“バベル”
オマケに、ここの
じゃあ残る四つの
残る一つの
で、俺達をここで倒した上で、全部の責任を俺になすりつける……ってところまでが賀茂のシナリオなんだろうけど。
「……まあ、俺達がやることは、賀茂の野郎をぶちのめして、サッサと
この、『ガイスト×レブナント』っていうゲームのシナリオから、な。
「あはは、そうだね。じゃあもちろん、その役目はヨーヘイくんがしてくれるんだよね?」
アオイは、俺の顔を
だから。
「ああ! 俺と[シン]で、必ずな!」
『はう! なのです!』
俺と[シン]は、みんなに向けてガッツポーズをしてみせた。
「ふふ……露払いは、この私達に任せてくれ」
「エエ! どんな相手でも、このワタクシが全て防いでみせますワ!」
そうして最高の雰囲気のまま、俺達は第十階層の階段を昇り切ると。
「ホホ……こんなところまで、わざわざご苦労じゃのう?」
現れたのは、土御門さんとヒロイン達……全部で九人かな。
「……土御門さん、君が最初に相手してくれるのか?」
「ホ、異なことを。そんなことは、見れば分かるえ? [導摩法師]」
土御門さんは[導摩法師]を召喚すると、紙片をばらまいて何体もの【式神】を出した。
相変わらず、厄介なスキルだな……。
「ホホホホホ! こうなっては、圧倒的に戦力に差があるのう! ……さて、望月……
勝ち誇るように高笑いをしたかと思うと、急に真剣な表情になった土御門さんが、アメジストの瞳でジッと見つめる。
どうするって? そんなの、決まってる!
「もちろん、俺達は賀茂のところへと向かう。そして、俺達がアイツをブッ倒す! たとえ、君が邪魔をしてもだ!」
「ホホ! それでこそ、望月ヨーヘイ! わらわが認めた男じゃ!」
嬉しそうにそう叫ぶと、土御門さんは突然クルリ、と
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