第323話 二人の姉妹
「……へえ」
“バベル”
「フウン……それでアナタ達、なんで
そう言うと、プラーミャはまるで小馬鹿にするかのように四人のヒロインを見つめる。
「……分からない?」
「エエ、全然」
「アンタ達のせいで、私達の人生がメチャクチャになったからでしょ! アンタ達が……アンタ達が、余計な真似をしなければ……!」
煽るプラーミャにキレた小森先輩が、怒りに満ちた表情で難癖をつけた。
いや、なんで俺達が小森先輩達の人生壊したみたいな言われ方、されなきゃいけないんだよ……。
「……貴様達が大切なものを奪われ、あの賀茂カズマに脅迫されて望まぬことをさせられていることに関しては、ほんの少しではあるが同情の余地もある。だが!」
そう言うと、サクヤさんは小森先輩をギロリ、と睨みつける。
「だからといって賀茂カズマに加担して悪に手を染め、あまつさえそれを他人に転嫁して非難するなど、言語道断だ!」
「っ! ア、アンタみたいな誰からも相手にされないような人に、どうこう言われたくないわよ! どうせ
サクヤさんに一喝され、小森先輩……小森チユキがなじる。
当然、俺はその言葉が許せなくて。
「フザケルナ! オマエなんかにサクヤさんの何が分かる! 自分が大切なものを奪われたことを棚に上げて、サクヤさんのことを悪く言ってんじゃ……っ!?」
するとサクヤさんは、俺の肩に手をおいてニコリ、と微笑み、静かにかぶりを振って制止した。
「ふふ……貴様には悪いが、私にも大切なものがある。ただ、その大切なものは……大切な人との絆は、切れたりすることも、ましてや他人に奪われるようなことも、永遠にあり得ない」
小森チユキ達に静かにそう告げると、サクヤさんは自身の左手にそっと触れる。
俺との絆である、“シルウィアヌスの指輪”に。
「ハッ! 笑える! バケモノみたいなアンタなんかのこと慕うようなバカ、いたとしても自分のことさえも理解できない底辺のクズか、同じバケモノくらいのものよ!」
「そうそう! 言えてる!」
「ホント、笑えるし!」
駄目だ……もう我慢ならない。
コイツ等だけは、絶対に……「フフ、バーカ」……って、プラーミャ!?
「アナタ達、大切なものを奪った賀茂カズマに服従してるんでショ? ひょっとしテ、底辺のクズって自分達のこと言ってるのかしラ?」
小森チユキ達を見やりながら、クスクスと笑うプラーミャ。
はは……相変わらず、煽りスキルは俺達の中で最強なんじゃないか?
「フフ、そうですわネ。ワタクシも、この方達のような惨めな姿にはなりたくないものですワ」
「「ネー」」
同じく
「いい度胸してるじゃない! ルーシからの留学生だか何だか知らないけど、痛い目に遭わせて病院送りに……いえ、自分達の国に送り返してやるわ!」
「フフ、聞いた? プラーミャ」
「エエ、バッチリ」
「悪いですけド、アナタ達のような不遜な輩、このワタクシ達がすり潰して差し上げますワ。[ペルーン]」
「
二人も自分達の
「フフ……そういうことですので、ヨーヘイ達は先に行ってくださいまシ」
「この底辺のクズ達は、
サンドラ……プラーミャ……。
「……分かった。だけど、決して無茶だけはするなよ。二人も俺にとって、
「ニャ!? わ、分かってるわヨ!」
プラーミャは眉根を寄せると、プイ、と顔をしかめてしまった。
「モウ……プラーミャもいい加減、
「……放っといてヨ」
呆れた表情を浮かべて諭すサンドラに、プラーミャは口を尖らせながら、なおも悪態を吐く。
だけどプラーミャに何を認めろっていうんだろう?
「ふふ……ヨーヘイくん、二人の実力ならこの程度の相手、軽く蹴散らしてくれるだろう。だから……私達はこの先へ」
そう告げるサクヤさんの言葉に、アオイと中条もゆっくりと頷く。
「サクヤさん……みんな……ああ、行こう!」
「ヨーヘイ! 絶対に賀茂カズマをぶちのめすんですのヨ!」
「ヨーヘイ! チョットでも苦戦したら、タダじゃかないかラ!」
先へ進もうとする俺達に向けて、サンドラとプラーミャはメイスとハルバードを突き出して激励した。
はは……二人にそう言われたんじゃ、やるしかないよな!
だから。
「任せろ! お前達もそんな
「「
俺も右手を掲げて応え、次の階層へ向けて駆けた。
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