第268話 お見通しの二人
「ホホ、では行ってくるえ」
扇で口元を隠しながら微笑む土御門さんは、クルリ、と翻って“グラハム塔”
「ネ、ネエ……本当に一人で、大丈夫なんですノ……?」
サンドラは心配そうな表情で、俺の制服をつまみながら尋ねる。
「フフ、大丈夫ヨ。それは彼女と戦った
そう言ってプラーミャがクスクスと笑った。
確かにプラーミャの言う通り、土御門さんなら楽勝だろう。
「そうだぞ? サンドラだって土御門さんの
「そ、それはそうですけド……」
正直、俺も[道摩法師]のステータスを見た時は驚いた。
だって。
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名前 :道摩法師
属性 :陰陽師(♀)
LV :81
力 :F-
魔力 :S+
耐久 :B
敏捷 :B
知力 :S+
運 :S+
スキル:【闇属性魔法】【式神】【占術】
【状態異常耐性】【光属性弱点】
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……まさか、レベルが俺達の中で一番高いだなんてなあ。
ただ。
『ホホ……わらわの……いや、元メイザース生徒会メンパーのレベルが高いのは、木崎の指導によるものじゃ。あやつが、レベルを上げるための
……というか、あのクソ女はどこでそんな情報を……?
しかもアイツは、メイザース学園に転校するまでは益田市とその近郊くらいしか知らないはずなのに、な……。
「ヨーヘイ……?」
気づくと、サンドラが俺の顔を覗き込んでいた。
「お、おうスマン。まあ、そういうことだから俺達はのんびり待ってようぜ」
「エ、エエ……」
ということで、俺達は雑談をしたりしながら待つこと二時間。
「ホ、なんとも拍子抜けよの」
土御門さんは余裕の表情を浮かべながら扉から出てきた。いや、それにしても。
「つ、土御門さん、さすがに早すぎじゃない!?」
「ホホ……それもこれも、望月のくれたノートのおかげじゃ……」
そう言うと、土御門さんは俺があげたノートをカバンから大事そうに取り出した。
「……これはもう、わらわには必要のないものじゃが……その、こ、このままわらわが持っていても……」
「はは、もちろん! それは、俺が土御門さんにあげたんだから」
「ありがとう……」
土御門さんは顔を赤らめながら微笑む。
いや、こういう表情を見ると、さすがはメインヒロインの一人なんだと自覚するなあ。
「コホン」
咳払いのするほうへと視線を向けると……あ、先輩が眉根を寄せて不機嫌そうにしてる……。
「と、とにかく、土御門くんおめでとう。これで、明日からはこのメンパーで“カタコンベ”
「ホ……ありがとうなのじゃ」
何だろう……先輩と土御門さん、少し雰囲気が……。
き、気にしないようにしよう。
「それで望月くん、“カタコンベ”
「あ、ああ。さすがに土御門さんも疲れてるだろうし、今日はもうこんな時間だしな」
「うん。じゃあ今日のところは解散、だね」
ということで、俺達はここで解散することになった……んだけど。
「あ、そうそう。立花、プラーミャ、加隈……それと、土御門さん」
「「「「?」」」」
帰ろうとした四人を呼び止めると、みんな振り向いて不思議そうな表情を浮かべる。
「ええと、どうしたの?」
「ああ……明日からの“カタコンベ”
そう。俺達と違い、土御門さんは【火属性反射】、【水属性反射】、【氷属性反じゃ】、そして【闇属性反射】を取得していない。
それに、土御門さんを加えたこのチームで連携を高めるのにも持ってこいだしな。
「ええと……それはいいけど、だったら望月くんも一緒に……」
「はは、悪い。俺達は生徒会の仕事があるから、ちょっと余裕がないんだよ。ですよね、先輩?」
俺は口裏を合わせてもらうために先輩を見やると。
「う、うむ! 生徒会もなかなか忙しいのだ!」
「あー……じゃあ、しょうがないねー……」
立花は肩を落とすも、とりあえずは納得してくれたようだ。
「それに、土御門さんはそもそものレベルが高いし、立花達は既に踏破してることを考えると、そうだな……できれば期末テスト前までには終えてくれると助かる」
「分かったよ」
立花達は強く頷いた後、今度こそ家路についた。
「ふふ……では、私も帰りますね」
「あ、氷室先輩もこんな時間まですいませんでした。タカシやニコちゃん、ミコちゃん、それにミャー太にもよろしくお伝えください」
「ええ。ですが、それは望月さんからあの子達に直接言ってあげてくださいね?」
おおっと、つまり今度、氷室先輩の家に来いってことか。
ま、まあ、タカシ達やミャー太にも会いたいから、顔を出すことにしよう。
そして、氷室先輩も手を振りながら帰って行った。
「さて……」
俺はクルリ、と振り返って残る先輩とサンドラを見やると。
「フフ……ところデ、土御門サンに各属性反射をマスターさせるのは分かったんですけド、どうしてあの三人ニ?」
そう言って、サンドラがクスクスと微笑む。
あー……分かってるくせに……。
「もちろん、“カタコンベ”
「ふふ、なるほど」
俺の説明を聞き、先輩もサンドラも、嬉しそうに頷いた。
「……今回の“カタコンベ”
「っ! ……もちろん、それは分かっているよ」
「エエ……だってヨーヘイ、ワタクシ達と違うチームじゃないって分かった途端、唇を噛んでましたものね」
「え!?」
うわあ……俺、無意識に顔に出てたのかあ……。
「ふふ……私達には、そんな望月くんの仕草が見れただけで充分だよ」
「フフ、そうですわネ」
「そ、そんなことより二人共! 早く“ぱらいそ”
微笑みながら見つめる二人に恥ずかしくなった俺は、ごまかすように初心者用の
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