第180話 限界突破の、その先へ
“アトランティス”
以前に来た時と比べると、まあ一時間以上は短縮できたかな。
「あれが、ここの
中央の穴の上で浮遊するクロケル公爵を眺めながら、氷室先輩がポツリ、と呟いた。
「あはは、今の俺達四人だったら、あの程度の
「ああ。もちろん、これは侮っているわけでもない。それだけ、私達は強くなったのだからな」
そう言うと、桐崎先輩は不敵な笑みを浮かべる。
確かに先輩は、柱の三体から半分とはいえ“ウルズの泥水”を吸収しているばかりか、“ぱらいそ”
「ですけド、そうなりますと
「まあ、な。だけどサンドラ、ここの
「ア……」
俺の言葉で、サンドラも気づいたみたいだ。
そう……所詮、ここの
もちろん、
ということで。
「[シン]! あの
『任せるのです!』
俺の指示を受け、[シン]は中央の穴に向かって一気にダッシュする。
そして、穴の縁にたどり着くと。
『【神行法・跳】!』
グッとしゃがみ込んだかと思うと、[シン]はロケットのように上空へと射出され、クロケル公爵の遥か上空へと飛び上がった。
『それー! なのです!』
クルリ、と身体を宙返りさせて文字通り空中を
『ッ!』
するとクロケル公爵は、右手に持つ氷の剣を[シン]へと突きつけた。
だが、[シン]は牧村クニオとの戦いの時に見せたような動きで、その剣をスルリ、と躱し、クロケル公爵の背後を取った。
『食らえなのです! 【爆】!』
『ガガガガガガガガッッ!?』
そして前回同様、重ね合わせた呪符によって地面へと吹き飛ばすと、そこには先輩とサンドラ、そして氷室先輩が待ち構えていた。
「ハアアアアアアアアアアアアアッッッ!」
「トドメですワ! 【裁きの鉄槌】!」
「【レイオマノ】」
クロケル公爵が地面にたどり着く前に、氷室先輩の[ポリアフ]が牙を刃にした武器でズタズタに切り裂き、それに追随するように[関聖帝君]の青龍
そこへサンドラの[ペルーン]がメイスを叩き落した瞬間、周囲に稲妻が走ると、クロケル公爵が黒焦げになり、幽子とマテリアルに変化した。
……今回は【アブソリュート・ゼロ】を発動する暇すら与えられなかったみたいだな。
『はう! やったのです!』
空中を飛び跳ねながら[シン]が戻って来ると、俺の胸に勢いよく飛び込んできた。
「ああ、よくやったぞ」
『えへへー、なのです』
そんな[シン]の頭を優しく撫でてやると、[シン]は嬉しそうに目を細める。
全く……アイスを食べる時より嬉しそうな表情しやがって……。
「それにしても……改めて見ると、[シン]の能力はすさまじいですね……」
「はい! 俺の自慢の相棒ですから!」
氷室先輩に[シン]を褒められ、俺は嬉しくなる。
だって、俺にとってこんな最高の
「さあ! このまま“レムリア”
「ええ」
俺達は意気揚々と“レムリア”
「望月くん、少しいいか……?」
すると先輩が俺に声を掛け、隣に並んだ。
「ええと、どうしました?」
「うむ……先程の
「ほ、本当ですか!?」
先輩の言葉を受け、俺は慌ててガイストリーダーを取り出す。
—————————————————————
名前 :シン(神行太保)
属性 :神仙(♀)
LV :61
力 :E
魔力 :S+
耐久 :D+
敏捷 :SSS+
知力 :S
運 :B+
スキル:【方術】【神行法】【全属性耐性】
【水属性反射】【火属性反射】【氷属性反射】
【状態異常無効】【物理弱点】【繁殖】
—————————————————————
「あ……」
『敏捷』ステータスの“SSS+”の表示。
そこには、クラスチェンジを果たしてからも休まずに続けてきた
「ふふ、やはりそうか……」
そして、一緒にガイストリーダーを見つめる先輩は、嬉しそうに頬を緩める。
まるで、俺達を祝福するかのように。
はは……こんなの、嬉しすぎるだろ……!
俺はガイストリーダーを握りしめると。
『はう!? ど、どうしたのです!?』
「はは! やった! やったぞ!」
[シン]を抱きしめ、階段でクルクルと踊るように回った。
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