第241話 チートスキル、発動
「決まってる。[ペルーン]の【裁きの鉄槌】の一撃で、あの[デウス・エクス・マキナ]を沈黙させるんだよ」
おずおずと尋ねるサンドラに、俺はハッキリと告げた。
この
「ワ、ワタクシがですノ!?」
「そうだ」
自分を指差しながら驚きの声を上げたサンドラに、俺は頷く。
「考えてもみろ。[シン]の呪符は、何枚も貼り付けて同時に発動させることでその威力を増すことが可能だけど、それだと貼っている最中にアイツの【カイロス】で無効化されてしまう」
「ソ、ソレハ……」
「だったら、たった一撃で全てをチャラにできるほどの攻撃力を持つ、サンドラの[ペルーン]に賭けるしかないんだ」
そうだとも。[ペルーン]なら、“リネットの指輪”によるステータス上昇効果も相まって、『力』ステータスは先輩の[関聖帝君]と同じ“SS”。
もちろん、攻撃力が『力』ステータスだけで決まるってわけじゃないけど、それでも、【裁きの鉄槌】の破壊力は『ガイスト×レブナント』に登場する全
だから。
「サンドラ……俺と[シン]で、何とかしてあの[デウス・エクス・マキナ]の注意を引きつける。だから……頼む!」
俺はサンドラの両肩をつかみ、必死で頭を下げた。
すると。
「モウ……こんなの、引き受けるしかないじゃなイ……ヨーヘイのバカ」
そう言うと、サンドラはしょうがないと言わんばかりに苦笑する。
でも、そのアクアマリンの瞳には、優しさと覚悟と、そして決意がみなぎっていた。
「ですけド、[ペルーン]が鉄槌を下す前に、ヨーヘイと[シン]が倒されたら承知しませんわヨ?」
「! ああ!」
俺は拳を握り、力強く頷く。
さあ……あとはこの綱渡りな作業を、俺と[シン]が黙々とこなすだけだ。
「[シン]!」
俺は盾の隙間から[シン]に声を掛けると、[シン]もまた、俺を見て頷いた。
「クク! よそ見とは余裕だな!」
いつの間にか、[デウス・エクス・マキナ]は【カイロス】と【ツァーンラート】による金属の歯車を周囲に大量に浮遊させていた。
それこそ、どこに逃げても[シン]を
『はう! こんなの、スヴァ姉さまの【
「ククッ!?」
その言葉の通り、[シン]は【カイロス】のスキル効果範囲である歯車の真下を綺麗に避け、【ツァーンラート】をかいくぐりながら[デウス・エクス・マキナ]に素早く呪符を貼る。
『はうはうはう! 【雷】! 【凍】!』
『ググガガガガガガッッッ!?』
ここでようやく、【カイロス】を発動させる前に何枚かの呪符を貼り付けることに成功した[シン]が、一気に発動させた。
はは! さすがに連続してダメージ食らうのは痛いだろう!
「クソッ! 【カイロス】!」
中条シドは、すぐさま[デウス・エクス・マキナ]のダメージを巻き戻すけど、だからといって[シン]の攻撃による
だって……これはゲームなんかじゃなくて、俺達の現実なんだからな!
そうなると、中条シドが取る行動だって限定されてくるはず。
「ククッ! [デウス・エクス・マキナ]! あの
ほらな?
さっきまでは[シン]を捉えることに集中して分散させていた歯車を、今では自身を守る壁のように、[シン]と[デウス・エクス・マキナ]の間にびっしりと展開させやがった。
誰だって、痛いのは嫌だもんな。
あとは……
『はう! まだまだ行くのです!』
そして[シン]は、さながら弾幕のように浮遊する歯車を、まるで最初からなかったかのようにスルリ、とすり抜け、[デウス・エクス・マキナ]に詰め寄った。
『それー! なのです!』
[シン]がひたすら呪符を貼り付けるが、[デウス・エクス・マキナ]はその
それはまるで、無限ループの中で延々と繰り返し作業しているかのようだった。
はは……まあ俺と[シン]にとっては、繰り返すことはそれほど苦じゃない。
だってこんなの、
「サンドラ……必要な距離は、あとどれくらいだ?」
「あと二歩……一歩……ッ! 入りましたワ!」
よし! これであとは、アイツを待ち受けるだけだ!
「クソ……! このままでは
すると、
「っ! [シイイイイイイイイイイイイン]!」
『了解なのです!』
俺の叫び声に反応した[シン]が、一気に[デウス・エクス・マキナ]から距離を空けた。
その時。
「無駄だ! 【クロノス】!」
[デウス・エクス・マキナ]の、
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