第5話 領域(エリア)見学
「くあー……眠い……」
次の日の朝、俺は眠いまぶたをこすりながら、重い足取りで学園へと向かっている。
昨日あんなことがあって行きづらくはあるんだが、それでも俺は行くしかない。
だって。
「学園に行かないと、“
そう、[ゴブ美]のレベルを上げるためには、
この
その
「といっても、入学したばっかりの俺が入れる
俺は昨日の夜、あのまとめサイトを穴が開く程に何度も読み返した。
その結果、今の俺が入れそうな
もちろん、学園の外にも
それに……結果的に、[ゴブ美]の育成には、初心者用の
「ホント、このまとめサイト様様だな……」
これがなかったら、[ゴブ美]を強くしようと張り切ったところで、どうやっても主人公にやられる運命しかなかった。
結局のところ、学園最弱の俺が唯一有利なのは、このまとめサイトで得た情報だけってことだ。
もちろん、最大限活用させてもらうとしよう。
そんなことを考えながら歩いていると、いつの間にか学園に着いた。
で、教室に入ると。
「「「「「…………………………」」」」」
クラスの連中が俺を見たかと思うと、ガヤガヤした雰囲気が一瞬だけ微妙な空気になる。
といっても、すぐに元の雰囲気に戻り、クラスは賑やかさを取り戻した。
そんな中。
「よう! なんか昨日は悪かったな!」
後ろから背中をポン、と叩き、加隈ユーイチがニッ、と笑った。
まあ、コイツが何も考え無しな性格だというのは分かったが、昨日の今日でよく俺に声を掛けられるな。
「……別に」
面倒なので、俺は半ば無視するように自分の席へ向かう。
「チェ、感じワリーな」
いや、それは俺の台詞なんだけど。
つーか、少しは空気読めよ。
「……フン」
すると今度は、俺の席の横を通りかかった悠木アヤが、俺を一瞥してから鼻を鳴らした。
オイオイ、俺がオマエに一体何をしたっていうんだよ。というか、昨日勝手に[ゴブ美]のステータスをみんなにバラしたの、俺は絶対に許さないからな。
「うふふ、みなさんおはようございます」
教室に入るなり、木崎セシルが笑顔で挨拶をした。
「「「おはようございます!」」」
おおう……クラスの男子連中が一斉に挨拶を返しやがった。
……ま、まあ、その気持ち分からなくはないけど。
俺はチラリ、と木崎のほうへと見やると。
「! ……(ニコリ)」
うおお!? 俺の視線に気づき、笑顔を向けたぞ!
ヤバイ……結構ドキドキした……。
——キーンコーン。
しばらくして朝のチャイムが鳴り、クラスの連中は全員席に着くと、先生が教室に入ってきた。
「みなさん、おはようございます」
「「「「「おはようございます」」」」」
にこやかに挨拶をする先生。
で、昨日俺が教室を飛び出したっていうのに、俺を一瞥もしないのな。
まあ、空気として扱ってくれたほうが俺としても助かるけど。
「それでは昨日お伝えした通り、今日の午前中は早速
おお……! まさか、今日から
というか、昨日そんな大事な話をしてたんなら、先生もちゃんと連絡くらいして欲しいよな……。
まあ、俺が勝手に飛び出したんだけど。
それから、先生の案内で
そしてそこには、既に他のクラスの連中も来ていた。まあ当然か。
「え、ええと、先生これ……?」
加隈が小屋を指差しながら、おそるおそる先生に尋ねる。
「はい、こちらが今日見学してもらう
「「「「「ええええええええ!?」」」」」
先生の言葉に、クラス全員が驚きの声を上げた。
他のクラスの連中はというと、既に聞かされているのか、驚いた様子もなく澄ました顔で俺達を見ていた。中には、同意するかのようにウンウン、と頷く奴もチラホラいた。
「ちゃんと中は広いですから。それと、今日見学するのは
いや、『まとめサイト』で確認したけど、[ゴブ美]の能力だと素の状態で行ったらかなりギリギリなんだけど。
先生、[ゴブ美]のステータスを知っている上で言ってるんですよね?
「では、昨日の班分けの通りに分かれてください」
先生がそう言うと、クラスメイト達はぞろぞろと移動し、五人一組に分かれる。
昨日いなかった俺は、当然一人だけあぶれていた。
「え、ええと先生、俺は……?」
俺はおずおずと先生に尋ねるが。
「……あなたは昨日、自分勝手に集団行動を乱しました。そのような行動をされると、今後の
「はあ!?」
い、いや、何言ってんだよこの先生は!
「それに先程も言いましたが、ここは初心者用の
そう言うと、先生は俺を見ながら嘲笑した。
……ああ、そうか。
コイツ、[ゴブ美]のステータスを知った上で、俺をソロで行かせて痛い目に遭わせようってつもりか。性格悪いな。
「……分かりました」
俺は
ハッキリ言ってこの先生は最低だが、俺としては好都合だ。
だって。
これで心置きなく、俺は初心者用の
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