第5話 僕の口の中のうごめく異物の正体は何? (4)
と、なれば? この後に少年、未だ年増もいかない十六歳の少年健太の口からはお約束、お決まり通りの言葉、台詞が自然と吐かれる。放たれるのだ。
「うそぉおおおっ!」と、声を大にした絶叫──!
それも、この木造、高床式の神殿造りの屋敷内だけではなくて、屋敷の外まで聞こえるような彼、健太の自身の身の上に突如起きた。降りかかってきた。異世界ファンタジーなこと、生活に対して彼は驚愕、動揺、困惑を交えた絶叫が少しの間響き渡ったらしい。
まあ、らしいよ。(笑)
でも直ぐに彼の、少年健太の、異世界ファンタジーのハーレム仕様にありがちな、【僕ちゃん】の押しかけ女房。そう、この集落のオーク種族の酋長アイカお姉さまの凛と勇んだ声音の台詞である。
「わらわの婿殿、煩い。静かにしろ。それよりもわらわとの接吻、子作りだ」と、言った。
彼、少年健太にとっては大変にありがたい? と思われる台詞と言葉が吐かれ、放たれた上に。健太の美しい妻、お妃さまであらせられるアイカお姉さまの、あの、この、素晴らしく艶やか官能的な唇、肢体、裸体が彼を、【僕ちゃん】こと健太の口や身体を『チュ』と淡く、甘く、官能的に塞ぎ、覆ってね。掻き決したがために少年はその後沈黙したらしい。
しかしだ。健太の沈黙を後追いするように続いたのは、緑の肌色を持つ麗しいオーク種族の酋長の一人であるアイカの荒々しい息遣いと吐息──声にならい掠れ声色だけが、この丸太で組み上げられた木造造りの神殿内から外へと漏れ聞こえ続いたらしいのだ。
◇◇◇
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