第649話 逃走?(10)

 だから健太は、女王レインのいる比の国から。女王ライのいる武勇に優れた……。


 そう、先程の戦、新興国家ジャポネの独立を許した戦。その戦場を思い出せばわかる通りだ。夫に捨てられてことで、泣き崩れてしまい。戦場では使い物にならなかった女王アイカなのだが。彼女の武勇、力は、オークのアマゾネスの中でも上位であり。男勝り。彼女……。姉妹と呼んだ方が良いかも知れぬが? 女王アイカとエリエ姫の二人は、オーク種族の男女合わせても上位ランクで、此の国の女王姉妹を止められる者等いるのか? と、言われる程の一騎当千万夫不当の武士なのだが。


 そんな此の国の女王姉妹を止めることができる可能性がある武人、アマゾネスがいるとするならば、【雷神】の異名を持つ彼女。他の国の女王ライなのだ。


 だから自分自身の主である健太に何か起きれば、彼女自身は自信を盛って直ぐに守護、守ってやるから。何かあれば、頼ってくるようにと、健太に告げていたのだ。


 でっ、健太自身も、他の国の女王ライが、優しく告げてくれる度に。


「うん」と頷き。


「ありがとう。ライ。ライさん……。ありがとうねぇ~」と。


 自身の妻、妃に微笑みかけながら甘えていた経歴があるのだ。あるからね。実際健太は、此の国の女王アイカやジャポネのシルフィーのこと、だけではないか? 比の国の女王レインのことも、とやかく言える。不満を漏らすことが可能な立場ではない。ない筈なのだが。


 彼は日本産まれの日本人だからね。妻の浮気は絶対に許さない。【男尊女卑】の思想だから致し方がない。ないから。自分に一途な他の国の女王ライを頼ることに決めて走り出したのだが。


 ……ん? あれ? あれなのだ!




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