第708話 健太憤怒!(9)

「シルフィーさんからも。『はい。分りました』と、納得して。サヨウナラを告げるのではなくて、このひとに。健太に何か言ってよ。不満や文句を。私達妻、妃を捨てて。放置して何処かへ。旅へと出るなと。国に帰り。城や民。私達妻達の事をちゃんと愛し。可愛がるようにしろと不満を告げ、諫めてよ。このひと、気が触れて可笑しくなったようだから。お願い。シルフィーさん」と。


 女王アイカは自身の義理の母でもあり。健太の筆頭妃と言っても過言ではない。健太の王族。一族の奥を仕切る妻。只今泣き癖。未だポロポロと涙を流しながら俯くシルフィーへと彼女は、不満のある声色で嘆願を。健太が国を捨て去るのをとめて欲しいと願う。


 しかし、俯き、シクシク泣くシルフィーは。


「……アイカさん。このひとに何を言っても無駄だから。自分自身納得。冒険、アドベンチャーに飽きて帰還。帰宅をするまで、好きにさせる。させた方がいいから。放置してればいい」と。


 女王アイカが欲しい台詞、言葉ではなくて、彼女の義母は、自分達の主がすること。したいこと。本人……。


 健太自身が飽きるまで、異世界ファンタジー的な冒険をさせればよいと告げる、ではなく。義母であり。健太一族の女達を仕切る皇太后殿下が。女王アイカの予想を反する。考えてもみなかったことを告げてくるものだから。





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