第186話 少年は更に猜疑心を募らせる(8)

 でっ、彼が洗濯を大人しく続けていると。


(……ん?)


 と、彼が小首を傾げてしまう違和感が自身の指先、掌に……。


 そう、何かしら健太の指先と掌に粘りのある不燃物がベタリとついた。


 だから彼は「(何だろう、このベタベタした不燃物は?)」と、自身の脳裏で呟きつつ。


「(……もしかして、これってあれなのかな?)」


 健太は脳裏で思うと、彼はニヤリといやらしく微笑む。


 そして「(一体誰の下着についていたのだろう……。もしかして? エリエさんかな? それともプラウムさん……? いいや、サラちゃんか、シルフィーさん、ウルハさん当たりかも知れないし……。その他の人かな?)」と。


 健太はこの国のハーレム王らしく、いやらしい笑みを浮かべ、自身の指先と掌についた粘りのある不燃物がついた下着、衣服の持ち主は、自身のどのお妃様なのか? と確認をする。


「(あっ! これだ! これだ! この下着についている……。一体この下着の持ち主は誰だっけ?)」と。


 健太は粘りのある自分の異物がついた奥さんの下着を広げ、誰の物、所有物。宝物だっただろうか? と、脳裏思案を始めだすと。


 健太のヘラヘラとしたいやらしい笑みが直ぐに止まり、彼の顔色はみるみるうちに青く変化していき。


「…………」と沈黙してしまう。


 だって健太が己の顔を真っ青にさせながら黙り、握り絞めている下着は、ここ一月近く……。


 そう、あの惨劇を境に彼との夫婦の営みが遠のいている女王アイカの物だから健太は唖然……。


 でも、これだけ周りに主夫達、他人の目があるから健太は嫉妬心募らせ、憎しみを込めて泣き、叫ぶ訳にはいかないから。


 自身の奥歯を血が出る程、『グッ、グググッ』と噛みしめ、泣き叫ぶ行為を耐え忍び、健太は平素を装いつつまた洗濯を始め続けるのだった。



 ◇◇◇


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