第127話 アマゾネス達の願い(2)
このチビ、このクソガキ、健太のことは絶対に許さぬ、殺してやるからな。
お前の、アイカの見ている目の前で、俺の彼女、婚約者、妃に手を出し、寝取る、NTRをすればどのような罰、刑と言う名の見せしめ、所業がおこなわれるのかを集落の皆、全員の目、瞳に焼き付け。二度と自分、俺さまに逆らい。楯突けないようにしてやる。
だからアイカ、自身の目、瞼を大きく見開き──。お前の美しい瞳に焼き付けろ。わかったなぁっ?
とでも言いたい。告げたい。叫びたい顔、形相でウォンはアイカのことを見詰め──健太へ視線を変えれば。
「うがぁあああっ! い、痛い。痛ぇえええっ! ク、クソー! クソガキが俺の足に噛みつきやがってぇっ!」
健太の絶叫、奇声、断末魔ではなく。
オーク最強の
健太は自身の子供染みた攻撃──噛みつき行為により更に気を荒くしだしたウォンのことなど気にしなで、彼の太くて固い足首に噛みつき、呻ったまま───。
「うぅっ、ウルハさん僕のこの身体、命のことなどどうでもいいから。そんなこと……。僕の目の前でこの男の物になる。妻になるなんて言わないでよ。僕自身悲しくなる……。もうそれこそ、死ぬに死ねないぐらい悲しくなるからそんな言葉、台詞は言わないでよ。お願いだから……。そして最後に僕に笑ってさよならを告げてよ。お願いだ……」と。
健太はウォンの足首、脛、アキレス腱へと噛みつき呻りながらウルハへと最後の嘆願、別れを告げると、自身の彼女、元妻へと視線を変え──。
ニコリと満身の笑みを浮かべると。
「アイカさんさようならぁあああっ! 幸せになってねぇえええっ! 僕は産まれ故郷の日本へと帰る。帰還をするからぁっ! さようならぁあああ!」
健太はウォンの脛、アキレス腱噛みつく行為を辞めてアイカへと叫び、最後のお別れ、今生の別れを告げれば再度、最強のグラディエーターのアキレス腱へと自身の歯を当て、ガブリと噛みつく。
〈ドン!〉
〈バリ……〉
「うぎゃぁあああっ!」、「ぎゃぁあああ!」
と言うことは、健太はできなかったようだね。
だって可哀想だが彼の口から断末魔のような叫び、絶叫と言う物が吐かれ、放たれると健太は自身の背を押さえながら悲痛な表情──。自身の顔を歪めながら地面の上で転がり、のたうち回り始めるのだよ。
「痛い。痛い。痛いよ」と、更に悲痛な声を漏らしながらだ。
そう彼は、健太は自身の背中、背骨を力強く、ウォンの鋼のように固い足の裏での踏み込みによる打撃攻撃を真面に食らい。
健太の華奢な背は完全に折れ、粉砕されてしまったのだ。
だから彼は、健太はもう二度と立ち上がることは不可能になってしまったよ。
だから彼はもう地面の上で芋虫みたいに転がることしかできなくなった。
う~ん、それでもね、この男の子健太は、最後の最後まで自身の産まれ故郷の英霊達のように愛する人のために死ねる。他界できる気構え、気丈さを覇王ウォンへと命乞いではなく、神風特攻を決行して魅せるのだよ。
だから〈ダン!〉なのだよ。
健太の華奢で貧弱、瓢箪のような身体が軽々と宙に舞ってしまう。
それを最後に覇王ウォンはこの貧弱な男王に対して手加減することもなく全力で彼の顔をサッカーボールの如く回し蹴りの打撃をおこなうから。
〈ボキッ〉と。
健太の口から絶叫、断末魔が吐かれる。放たれることはもう二度となく。
彼の身体から鈍い音──。何かが折れる音が聞こえると。
健太の可愛かった顔が以前の面影ないぐらい破壊された上に、彼の顔の向きは自身の身体の向きとは反対側──正反対、後ろへと向いたまま地面に『ドン!』と鈍い音を立て落ちた。
彼は、健太は、オークの神である太陽神へと己の命を捧げたから。
〈ピュー!〉と神風が吹き。
この場に新しい足音──。
それも複数の足音が慌ただしく駆けよってくるのが聞こえてきたのだ。
だからここで覇王ウォンの野望は、クーデターは完全に潰える方向へと進んでいく。
となれば?
無謀、無意味に思えた男王健太の覇王ウォンへの神風特攻による時間稼ぎ、無謀な猪突猛進攻撃は成功に終わると思うから。
彼の、健太の死は無駄ではなかったみたい。
◇◇◇
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