第63話 最弱の男王はオークの種族の習わしと掟を知らないようだ(16)
この小さな国、集落の老若男女問わずタッ、タッタ、ゾロゾロと足音を立ててこの場に……。
そう、サラとウルハが対人、喧嘩、ボクシング、プロレス、レスリングを始めている。おこなっている最中のこの場へと野次馬達が集まる。暇人ばかりだから集い始めだすのだ。
この小さな集落には、健太が産まれ育った近代日本のようにテレビや映画館、スマートフォン、パソコン、各ゲーム機。ゲームセンターにパ○ンコ、遊園地、ファッションモールなどの娯楽用品、施設などがある訳ではないから。
このように喧嘩が始まるとみなは風の噂を便りにテクテク、ゾロゾロと。何処からともなく人が集まり。集うからね。
「おらおら、サラもウルハもがんばれ!」
「負けるな、二人とも!」
「ほらほら、シャキッとしろよ。二人とも」
「うぉっ! 見てみろよ! ウルハの大きな乳房がマジでブラブラ、タユタユと揺れているぞ!」
「ああ、本当だ! 本当に凄く、たゆたゆと揺れているぞ!」と。
まあ、当の本人であるサラとウルハは必死にお互いが拳と蹴りを多々繰り出しては必死に争い。格闘、喧嘩をしているのに。
何処を見ているのかわからない変態、エッチ、いやらしい。不届きな若い。年頃な漢戦士達がウルハの女王アイカやエリエ、プラウムにも引けをとらない魅惑的な乳房、オッパイがタヨタヨしく優艶に揺れる様を凝視しては自身の顔を緩ませ、鼻の下を伸ばしながら歓喜──熱い声援を送れば。
「馬鹿か、お前ら。あの可愛いサラの乳房もウルハに負けないぐらい大変にタユン、タユンと右往左往して動いているぞ!」と。
また不届き旋盤の者が、未だ青々した発展途上の果樹であるサラの乳房、オッパイがタヨタヨと官能的に揺れる様子を、顔を緩め、鼻下を伸ばしながら指を指せば。
可憐なアイカ一族の麗しい美少女サラの優艶な肢体にも漢戦士達の熱い注目が集まり。
「うぉっ! マジでサラは可愛いな!」
「ああ、本当に好い娘だ!」
「流石、この集落一の美女、女神様の娘だけあるな」
「ああ、本当だ……。サラも姉のプラウムと比べても引けを取らない麗しさだからな……」
「うん、マジで麗しいよな、サラは……」
「俺の嫁にきてくれないか……」
「馬鹿か、あれは、あいつは、サラは、あの人種のチビの女、嫁だぞ」
「ああ、そうだったよ。サラはあのクソガキの嫁になったのだから。俺の手の届かない所へといってしまったんだよな……」
「ああ、そうだよ。俺達のアイドルだったサラはもう、他人の物……。それもあの女のような優男のチビガキの物になったんだよ」と。
この場に集いし、野次馬達の中の漢戦士達は、最初はサラの母譲りの美貌、美しさに見惚れ絶賛、歓喜……。
でもサラが異世界からきたひ弱で軟弱な男王の物、所持品、妻、妃だとわかれば、各自各々がガッカリする。
そう、漢戦士達は自身の肩を落とし俯き始める。
そして嘆き、悲しみ始めると。
「はぁ~」と、最後には誰からともなく大きな溜息までも漏れ聞こえてくる。
(お願い)
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