第79話 困惑する酋長……(3)

 やはりこれだけの民衆、観衆の中でアイカは自身の主、男へと冷たい目をしながら荒らしい口調と声色で叱るように訊ねてしまう失態を犯してしまう。


 そう、まさに男王になって当たり前。なることが義務付けられていたはずの最強の男……。自身の彼女、婚約者、妻だと言っても過言ではないほど中慎ましい女性を奪われたと思い。現男王に対して逆恨みをしている男、ウォンの思惑通りに女王アイカはことを進めているから致し方ない奴だと思いつつ健太とアイカの様子を窺っていると。


「あ、あのね。アイカさん……。僕がね。ウルハさんや僕の周りにいる女性ひと達の洗濯物預かり洗っていることをサラさんが知って怒りだし喧嘩になったんだよ」と、健太は自身の妻の顔色を恐る恐る見ながら。それもできるだけアイカの燃えるように赤い瞳とは合わせないように……。



 そう、今までアイカに何度も殺されかけた。変死しそうになっている健太だから自身の妻が怖くて仕方がないのだ。


 だから彼は、大変に憤怒、怒りをあらわにしているアイカに対して自身の身体を震わせ怯えながらしどろもどろと小声で妻へと説明をするから。


「健太! あなたの声が小さいから聞き取れない。だからもっと大きな声で私に説明をしなさい! 大きな声で今直ぐに!」と。


 アイカは自身に対して明らかに震え怯えている健太を見る。見続けていると無性に腹立って致し方がないから彼女は、夫の漏らした小声での説明を自身の持つ大きな笹耳でレーダー探知機のように聞き取っているにも関わらず。アイカ更に大きく荒々しい声色、口調でね。健太へと問うてしまう失態を犯してしまのだよ。

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