第80話 困惑する酋長……(4)
だってアイカに問われた健太は、またみなの観衆、注目されている中でまた自身の肩をピクンと跳ねる。身体を更に震わせる。自身の妻が怖くて仕方がないから完全に下を向き。
今にも彼は泣き出しそうな顔をしながら。
「あの、あの、あのね」と健太の台詞は更にしどろもどろと呟きみたいになってしまい。本当に彼がアイカに対して何を言いたいのかわからない状態へと陥っているから。
「クスクス」
「あっ、はははっ」
「ふっ、ふふふっ」
「おいおい大丈夫なのか?」
「本当にあんなひ弱な男の子に男王などつとまるのか?」
「ああ、確かにお前の言う通りだ」
「男王を変えた方がいいんじゃないか?」と。
最初は健太の男王らしくない振る舞に対して苦笑い。苦笑。薄ら笑いに嘲笑が観衆、野次馬達から小さく漏れていたのだが。観衆達の中からと、言うか?
先ほどウォンに対して現男王への不満を漏らしていた若い漢戦士達の口から健太を侮り。蔑み。嘲笑う誹謗中傷が漏れ、吐かれ始める。
と、なれば?
女王アイカは更に苛立ちを見せ始める。
だから『健太!』と怒声を咆哮しようとすれば。
「ちょっと長ー!」
「アイカ姉!」
「アイカ、お前! いい加減にしろ!」と。
二人の喧嘩の間に割って入っていたエリエが顔色を変えて、自身の姉の健太への叱咤激励ではなくなった。ただの虐め、暴言に対して慌てて制御を入れれば。
喧嘩していた二人。サラとウルハもガンのつけ合い。飛ばし合いをおこなうどころではくサラも自身の顔色を変えながら姉のエリエのように、姉のアイカの夫への暴言を制御──。
ウルハにしては女王アイカに対して不満をあらわにするどころではなく。今にも女王アイカに対して噛みついてしまうのではないか? と、思われるほど憤怒しながら自身の主を蔑視した女を睨みつけ始めるから。
健太の周りにいるアマゾネス達も今の今まで二人の成り行き。夫婦喧嘩……と、言ってもアイカが一人で憤怒、憤怒しながら一方的に健太を怒る。叱っている状態を呆然唖然と見詰めていたのだが。
自分達のリーダー、姉御、番長さんであるウルハの憤怒しながらの女王アイカへの咆哮に対して我に返り。自分達の目の前にいるこの小さな国、集落の酋長、女王アイカのことをウルハ同様に自身の目を細めながら呻るよぅに睨み始めるのだ。
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