第376話 家出(223)

 ウォンではなく。この国の王である健太が。この国、アイカ達、一族の女性達の許から去り──。


 この国、女王アイカを含め捨てると決意をするのだよ。


 だから我らは驚愕する。


 う~ん、でも、我らも余り健太の行動に驚愕している暇などないのだ。


 だって健太は、自身の口を開いて。


「わかったよ~。アイカさん~。もう僕は、ウォンさんとは争わないよ。二度とね~。多分会うこともないと思うから~。じゃ~、二人は未だこみいった話しもあるだろうと思うから~。僕は先に屋敷に帰っているよ~。そして部屋の中でアイカさんを待っているからね~」と。


 女王アイカへと『サヨナラ』の笑みを浮かべながら告げる。


「えっ? うん、わかったわ~。あなた~。私も直ぐに帰るから~。待っていてね~。屋敷に戻ったら、身体の痛みがもっと和らぐように~。回復魔法をかけてあげるから~」と。


 女王アイカは健太へと、最後の言葉を告げる。


 彼女自身は、これが健太と交わす死後の台詞になるとは思っていないので。嬉しそうな顔と、高らかな声色で告げたのだよ。


 まあ、そんな彼女の最後の台詞を勘太は、『ニコ~』と、笑みを浮かべ。「楽しみしているよ~」と、言葉を返して二人の前から去るのだよ。


 自分に合った国や町、集落……。種族を探す旅が、今彼に始まったようだね。



 ◇◇◇◇◇




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