第653話 予期せぬ事?(2)

 また、そんな彼の逃走を計る様子を凝視すればわかる通りだ。彼、健太は、己の大事だった筈の、此の国の妻達に対して、完全に呆れ返っているし。妻達に対しての想いも完全に薄れ、『もう、彼女達はいらない』、『関わりも持ちたくない』、『欲しい人がいればあげるよ。アイカさんみたいに……』と。まさに『クズ男』のようなことを彼は思いながら逃走を計っているようだから。


 彼の、健太の、自称妻、妃達や、エリエ、ウルハの両領主も血眼、血相……。


 そう、自身の両目、アイカ一族だけしか持たぬ、紅の瞳を潤ませ、粒を流しながら。


「あんたぁあああっ!」


「御方ぁあああっ!」


「何処ぉおおおっ?」


「何処にいる、のだぁあああっ?」


「あんたぁあああっ!」


「御方ぁあああっ?」と。


 大変に悲しい声音で叫びながら探索をしなければいのに、健太の妻達はね。彼、彼女達の白馬の王子さまは、此の国の女王アイカとジャポネの女王シルフィーが、自分自身へとしてきた悪態行為に対して、己の妻達は、皆二人の女王さまのような女達……。




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