「う～ん、それにしても、しつこいな……」と。

　健太は、「ハァ、ハァ」と、相変わらず息荒くしながら走る。逃走を計りながら不満を漏らす。こんな言葉、台詞も付け加えながらねぇ。

「いつまで僕に対して執着し、追ってくるのだろうか……」、

「僕自身は、本当に困る。困って仕方がないのに……」、

「本当に彼女達には、いい加減に。いい加減にして欲しいよ……」と。

　何とも言い難いと言うか？

　自身の大事な妻。この大陸、この地にある数々の国に住み暮らす男、オス達にとっては、一番貴重、掛け替えのない財産、宝である。己の妻達に対して、何とも言い難い言葉と台詞……。

　そう、彼の数多くいる妻達を侮り、蔑み、愚弄する悪口、悪態をつき、漏らしながら。健太は逃走を計るのだ。

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