第657話 予期せぬ事?(6)

 でも、彼女も一度思い。言い出す。言い出しら頑固一徹なところが、自身の顔に似合わずある健太の実に娘だから。言い出したら。行動をしだしたら。いくら兄の諫め、制御、下知であろうとも聞く耳は持たないところがあるから。


「一樹お兄さま、私(わたくし)のことなど、放っておいてください」と、荒々しく告げ、吐き、足をとめることもしないで出入り口へと向かうのだ。


「待て! 待て! と、兄上が言っているだろうに」と。


 兄の一樹の言葉に続くように今度は、【守る】が……。



 そう、三男の『守る』が、母であるシルフィーの下知を無視して、この場、謁見の間を退室しようと試みるプラウムのことを呼び止め。彼女を足止め制御する。


 そんな子供達……。自身の息子や娘のやり取り。会話。様子を玉座に座り呆然と眺め、観察をしながらでも。何かしら物思いに耽る。思案を続けている様子だったシルフィーだったのだが。


「守る! 放って起きなさい! プラウムのことは」と。


 急に自身の口を開いて、三男の『守る』へと、妹のプラウムのことは放置しろと告げる。告げれば彼は。


「はい。分りました。母上……」と。


 会釈をしながら言葉を慎み、後方へと下がる。





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